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【解説】徳育・知育・体育:『三育』の定義や起源、実践校など

2023年1月4日

徳育・知育・体育とされる『三育』の定義や起源、実践校などのまとめ
疑問を持つ男性1
徳育』『知育』『体育』って言葉が3つならぶのはなかなか見ないな。。何か意味があるんだろうか?

 

本記事では、こういった疑問に対する回答をご用意しました。

本記事では、『徳育』『知育』『体育』だけでなく、◯育や◇育についても、様々な出典にもどづいて、起源や概念、実践例などをまとめて解説します。

ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

 

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徳育・知育・体育(合わせて『三育』)とは

徳育・知育・体育(合わせて『三育』)とは

徳育・知育・体育(合わせて『三育』)とは

 

定義と起源

徳育、知育、体育の3つを『三育』といいます。

人間教育の全体を表すものとして使われている概念です。

元々は、イギリスの学者であったハーバート=スペンサー氏(1820~1903年)が、1860年公表の論文『Education; In tellectual, Moral, and Physical』の中で提唱した概念なんですよね。

『三育』という日本語がついていますが、イギリス発祥なのです。

 

日本の法律との関係

教育基本法第二条は『教育の目標』を定めているのですが、その第一号には以下のとおり記載されています。

幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

引用:e-gov

 

条文を分解すると、こう考えられませんか?

  • 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い:知育
  • 豊かな情操と道徳心を培うとともに:徳育
  • 健やかな身体を養うこと:体育

 

三育は、教育の根幹をなす教育基本法にすでに規定されていたわけです。

 

徳育

徳育は、文部科学省によると以下のとおり定義されています。

「社会(その国、その時代)が理想とする人間像を目指して行われる人格形成」の営み

引用:文科省Webサイト

 

その国、その時代』がポイントかと思います。

なぜなら、道徳的価値観は国や地域によっても異なるし、時代とともに変わるからです。

 

道徳心がなければ世紀末漫画のような世界が広がってしまいますので、人間社会を形成するうえでは必須の教育です。

 

ここでひとつ思うのは、『その国』としている限りはなかなか国家間の紛争もなくならないなぁということです。

A国では当たり前の道徳感でもB国では受け入れられないものだったら、いずれ衝突しますよね。

 

知育

知育の明確な定義が見つけられなかったのですが、筑波大学の研究者・片岡暁夫氏は、学会にて以下のとおりに言及しています。

 

知育は、人間が記号を用いて環境に働きかける方法を工夫する能力を育成する。

引用:「ハーバート・スペンサーの体育論についての考察

 

記号を用いて環境に働きかける工夫。。深いですね。

確かに、サバンナで一人のヒト科の生物が生き抜くのであれば、記号は不要かもしれません。

ですが、人間社会で生きていくためには、コミュニケーションの媒体としての文字や言葉が必要です。

そうやってうまくコミュニケーションを図ることで生きていけるので、知育が必要というわけですね。

 

体育

体育は説明不要なほどに一般的なワードですね。

教育基本法にあるとおり、『健やかな身体を養うこと』です。

運動の得手不得手はあるにしろ、現代社会を生きるうえでの健康と、最低限動かせる身体を育むことは、必須の教育です。

 

四育?

定義と起源

記事執筆時点で、明確に四育という言葉があるわけではないですが、『三育』では足りないという考えもあるようです。

文部科学省農林水産省は、四育という言葉は使わないものの、『食育は、知育・徳育・体育とセットで重要』という立場をとっています。

つまり、四育とは以下です。

  • 知育
  • 徳育
  • 体育
  • 食育

 

食育

農林水産省は、食育を以下のとおり定義しています

食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるもの。

引用:農林水産省Webサイト

農林水産省ですから、食育を『三育の基礎』として最上位にするのはわかる気がします。

食べることは生きることと考えれば、最重要ですからね。

 

五育とは

定義と起源

五育は、四育にさらに『才育』を加えた概念です。

江戸時代貝原益軒によって書かれた『養生訓』などに記載されているようです。

五育総合研究所や浦和めぐみ幼稚園などが、五育の実践・サポートを公言しています。

 

才育

読んで字の如く、才能を育てるのが才育です。

才能はひとりひとり違うので、その人に合った才能を見つけて伸ばしていくことだと考えられます。

 

 

三育・四育・五育の比較

三育、四育および五育を比較すると、以下のとおりです。

三育・四育・五育の比較

三育・四育・五育の比較

 

イメージを掴めたでしょうか。

概念は五育まで広がっているものの、省庁は『才育』までは追いついていないようです。

『個人個人の才能を伸ばす』というのは限りなく抽象的であるため、それを実現するための方針を打ち出すのは省庁にとっては困難なのかもしれませんね。

 

三育を実践している学校

三育を実践している学校

三育を実践している学校

 

三育を実践している(と公言している)学校は多くはありません。

なぜかはわかりませんが、検索してもヒットしないのです。

 

唯一見つけたのは、『三育教育グループ』です。

三育教育グループは、キリスト教をベースとしたグループで、以下を運営しています。

  • 幼稚園〜専門学校、大学
  • 教会
  • 病院
  • 食品会社
  • 介護施設などの福祉施設

 

その中でも特に目立つのが、

  • 三育学院大学
  • 三育学院中学校
  • 横浜三育小学校

など、『三育』と名前のついた学校です(三育教育グループの学校には『三育』が付きます)。

サイトを見ると、なかなかにキリスト教色が強いですが、クリスチャンは馴染みやすいのかもしれませんね。

 

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まとめ

本記事では、徳育・知育・体育とされる『三育』の定義や起源、実践校などをご紹介しました。

簡単にまとめます。

  • 三育は、イギリス人学者のハーバート=スペンサー氏が提唱したもので、『徳育』『知育』『体育』からなる。教育基本法第二条第一号にも記載されている。三育教育グループが学校教育で実践。
  • 四育は、三育に『食育』を加えたものと理解。文科省農水省は四育を提唱。
  • 五育は、四育にさらに『才育』を加えたもの。江戸時代の『養生訓』(貝原益軒)などが出所。五育総研などがあるが、実践を公言している機関はあまり見つからず。

 

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