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無気力だから不登校?論文を読み、もう少し深く探ってみた

無気力だから不登校?論文を読み、もう少し深く探ってみた
無気力だから不登校になるんだろうか・・ そもそも無気力ってどこから来るんだろうか・・?

 

不登校の原因はさまざまですが、『無気力』もその主要な原因となっています。

 

論文などを紐解きながら原因を探りつつ、日本の施策などを紹介します。

 

ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

 

 

無気力と不登校の現状と課題

無気力と不登校の現状と課題

無気力と不登校の現状と課題

 

近年、日本では児童・生徒の不登校が深刻な社会問題となっており、その背景には『無気力』状態が大きく関与しているとされています。

 

文部科学省の調査『文部科学省委託事業不登校の要因分析に関する調査研究』によると、2022年度の不登校の主たる要因について回答のあった1,357名の回答のうち、750名がその要因を『無気力・不安』としています。

 

不登校の要因として主要なものとなっているので、無気力は解決すべき重要な社会課題と言えます。

 

無気力と不登校の問題に対して、社会全体でどのようにアプローチし、どのような支援が可能かを考えることが今後の課題と言えるでしょう。

 

無気力の要因

無気力の要因

無気力の要因

 

なぜ無気力なのか?

 

これは非常に難しい問題です。

 

事実、文部科学省の先のレポートでも、無気力の原因についてはっきり答えていません。

 

そりゃあ、アンケートだけじゃ分かりませんよね。

 

人の心という摩訶不思議なものに関係するのですから。

 

参考になる文献があるので、少し紐解いてみます。

 

論文1:中学生が対象

主観的随伴経験が中学生の無気力感 に及ぼす影響(牧、関口、山田、根建、2003)

 

この論文では、以下のとおり考察されています。

中学生の無気力感は『やってもうまくいかない』といった非随伴経験の多さというよりも、『やってみたらうまくいった』といった随伴経験の少なさに起因する可能性が示された。

 

論文2:小学生が対象

小学生の無気力感と学校環境適応感との関係(船木、熊谷、2005)

 

小学生の場合は、調査対象者の中で無気力感が特に高かったグループについて、『学習意欲の欠如』『身体的不全感』『消極的友人関係』の項目を比較したところ、『学習意欲の欠如』の項目が高かったようです。

 

論文3:中高生や大学生が対象

青年期の各学校段階における無気力感の検討(下坂、2001)

 

中高生の場合、『自己不明瞭』の因子が高くなっています。

 

その『自己不明瞭』をさらに分析すると、進路への意識が関連しているとの知見が得られています。

 

 

 

こうして見ると、『学校に限らず、若者を育てる教育システムが、全若者に向いたシステムじゃない』ってことなんでしょう。

 

文科省のカリキュラムどおりに年齢で区切り、同じようなことを一律に学ばせ、受験という高ストレスな関門を強いてしまう。

 

このシステムに合わない子どもの立場がなくなってしまいます。

 

教育システムを少しずつでもいいから修正していき、より多くの子どもが自分に合った育ち方ができるといいですね。

 

不登校に対する支援の現状と課題

不登校に対する支援の現状と課題

不登校に対する支援の現状と課題

 

不登校に対する現状の支援策を紹介します。

 

支援策一覧

  • スクールカウンセラー
  • スクールソーシャルワーカー
  • 別室登校
  • 教育支援センター
  • 校内フリースクール
  • フリースクール

 

スクールカウンセラー

学校における心理的なサポートを担うスクールカウンセラー。

 

生徒だけではなく、保護者や教職員とも研修などを通じてケアする仕事です。

 

スクールカウンセラーは徐々に増えているのですが、産経新聞のニュースによると、不登校時の数も増え続けているんですよね。。

 

一概にスクールカウンセラーの意味がないとは言いませんが、抜本的な解決策ではないように見られます。

 

スクールソーシャルワーカー

スクールソーシャルワーカーとは、神奈川県の解説を引用します。

 

スクールソーシャルワーカーは教育の分野に加え、社会福祉に関する専門的な知識や技術を有する者で、問題を抱えた児童・生徒に対し、当該児童生徒が置かれた環境への働きかけや、関係機関等とのネットワークの構築など、多様な支援方法を用いて課題解決への対応を図っていく人材です。

 

文科省の事業でも、スクールソーシャルワーカーが活用されています。

 

スクールソーシャルワーカーは、学校や児相などの関係機関、そして家庭と連携しながら、問題解決にあたります。

 

別室登校

東京都の学校では、別室登校に取り組んでいます。

 

従来の『大勢がいる教室』が向かない子どももいますので、静かで落ち着いた環境を用意できるのは利点ですね。

 

教育支援センター

教育支援センター、教育センター、学校教育センターなど、呼び方は様々ですが、自治体に設けられた公的な機関です。

 

武蔵野市の事例をだしておきますが、公的な機関として存在してくれるのは、親御さんや生徒からするとありがたいですね。

 

校内フリースクール

校内にフリースクールという仕組みを取り入れた事例があります。

 

解説記事をつくったので、ぜひ読んでみてくださいね。

 

同じ学校の校舎という安心感・親近感と得ながら、個々のペースに合わせた柔軟な学びが可能な、『いいとこ取り』の仕組みです。

フリースクール

フリースクールは、何らかの理由で学校に行けない子どもを対象に、学習や生活などの支援を提供する民間の教育機関です。

 

解説記事がありますので、ぜひ読んでみてください。

 

 

【私見】不登校の改善に向けて

【私見】不登校の改善に向けて

【私見】不登校の改善に向けて

 

僕は、不登校の社会的背景には大きく2つあると考えています。

 

 

一つめは、一律に育てようとする教育システムの綻びだと思っています。

 

性自認で苦しんでいる方が大勢いるように、社会に決められた一律の教育システムに適合できずに苦しんでいる子どもいるのです。

 

それぞれの特性に合った育ち方を選べるように、公的な支援のもと、フリースクールなどの柔軟な学びを普及させていくのがいいのかなと考えています。

 

 

二つめは、日本の先行きの暗さです。

 

高度成長期に、『がんばれば未来は明るい』と国全体で思えた時代であれば、将来に対するなんとなくの不安を感じる余地は少なかったのかもしれませんが。

 

ですが、GDPも伸びず、人口減少によって衰退することがわかっている時代で、希望を持ってがんばるというのは、酷なことかもしれません。

 

政治の失策の結果だと考えていますが、文句を言っても始まらないので、未来を明るく見せる・思えるように、大人たちがつくっていかなければなりません。

 

未来が明るいこと、こんなにがんばっている大人たちがいること、社会に出たら楽しいってこと、大人になるって楽しいってことなど、先行きに期待できるように行動して発信していくべきだと思っています。

 

抽象的な考えですが、大人の行動が子どもの生育に影響するはずなので、姿勢を見せて発信していきたいなと思っています。

 

まとめ

本記事では、無気力不登校の関係や、不登校への対応策などを紹介しました。

 

以下にまとめます。

 

本記事のポイント

  • 文科省の2022年度の不登校の主たる要因について回答のあった1,357名の回答のうち、750名がその要因を『無気力・不安』
  • 無気力の要因として3つの論文から示唆を紹介
    • 論文1:中学生が対象
      • 『やってもうまくいかない』といった非随伴経験の多さというよりも、『やってみたらうまくいった』といった随伴経験の少なさが関係していそう
    • 論文2:小学生が対象
      • 無気力感の高いグループでは、学習意欲の欠如との相関あり
    • 論文3:中高生や大学生が対象
      • 『自己不明瞭』の因子が高くなっており、その『自己不明瞭』をさらに分析すると、進路への意識が関係していそう
  • 不登校に対する支援を紹介
    • スクールカウンセラー
    • スクールソーシャルワーカー
    • 別室登校
    • 教育支援センター
    • 校内フリースクール
    • フリースクール
  • 【私見】不登校の改善に向けては、『公的支援のもと、フリースクールなどの柔軟な学びを普及』『未来が明るいことを大人の行動で示す』が必要かと

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