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早期英語教育の危険性を論文から紹介

2024年4月29日

早期英語教育の危険性を論文から紹介
早期英語教育には危険性があるって聞くんだけど、うちの子は大丈夫かな。。??

 

『危険性』なんていうキーワードを見聞きしたら、そりゃあ不安になりますよね。

本記事では、論文をベースに、早期英語教育危険性についてまとめていきますので、参考にしてもらえたらうれしいです。

知っているかどうかで、その不安もずいぶんと変わってくると思いますので。

 

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英語教育の早期化の流れ

英語教育の早期化の流れ

英語教育の早期化の流れ

 

英語教育がますます早期化しています。

実際、小学校における英語教育についても記事にしたとおり、いまや公立の小学校では、中学年(3,4年生)から『外国語活動』として英語に親しむ時代です。

僕は英語は中学校からやっていた世代ですが、グローバル化の流れが進んだなぁ。。としみじみと思うわけです。

中には『イマージョン教育』といって、『英語""学ぶ』のではなく、『英語""学ぶ』という教育方法を採用している学校もあるほどです。

 

ただ、やみくもに早期に英語教育を取り入れることについて、危険性が指摘されていることも事実です。

以下、早期英語教育危険性について紹介します。

 

早期英語教育の危険性

早期英語教育の危険性

早期英語教育の危険性

 

セミリンガル化

盛岡大学紀要第30号に掲載されている論文『早期バイリンガル教育の潜在的リスク-セミリンガル生成のメカニズムと二つのリスク体系-』(小川修平)をひととおり読みました。

小川さんの論文は、海外に行って英語を身につけるケースを想定していますが、『セミリンガル』という中途半端な状態がよくないとのこと。

 

バイリンガルであれば、2つの言語を使えこなせる状態なのですが、セミリンガルの場合は『2つの言語がどちらも中途半端』の状態です。

以下の図は同論文からの引用ですが、わかりやすいので説明しますね。

ポイント

  • 横軸:海外に行ってからの年数
  • 縦軸:言語の習熟度
  • 破線:同年齢の平均レベル
  • BICS:Basic Interpersonal Communicative Skillsの頭文字で、生活言語能力のこと
  • CALP:Cognitive Academic Language Proficiencyの頭文字で、学習言語能力のこと
言語能力の発達と衰退

言語能力の発達と衰退

(画像出典:『早期バイリンガル教育の潜在的リスク-セミリンガル生成のメカニズムと二つのリスク体系-』(小川修平))

 

海外に行って2年くらいで、BICSは平均くらいにまで伸びますが、日本語能力は衰えていきます。

2年をすぎた頃、日本語は同年齢の平均レベルを下回るようになっていき、CALPもまだまだ平均レベルとはいかないレベルです。

7年くらい経つと、CALPも平均レベルにまで伸びてきます。

 

このPeriod Bの期間において、母語でしっかり学ぶ機会を持たないと、どちらの言語でも知識を吸収できない空白期間ができてしまい、両言語の発達に支障(ダブルリミテッド)をきたすリスクがあると指摘されています。

こうやってセミリンガルが生まれてしまうわけです。

 

両言語とも中途半端で学習に支障をきたす状態。。いかにストレスフルかわかりますよね。

 

カルチャーショック

これは特に幼少期に海外で過ごして英語を習得した場合なのですが、英語を身につけるとともに、現地の文化も身につけることになります。

特に幼少期はスポンジのように吸収しますから、価値観形成にも多大な影響を受けます。

 

ところが、日本に帰ってくると、文化や価値観の違いから、様々な壁にぶち当たります。

学校にいる周囲の子どもたちもまだ幼いと、馴染めなかったり、いじめなどのリスクがあります。

 

考えてもみてください。

『え??日本ではそんなことやってるの??アメリカではこうなんだけど。。ナンセンス!』なんていう子がいたら、疎外されちゃいますよね。

 

特に物事をはっきり言う文化で育った場合、戸惑うはずです。

 

では、早期英語教育のリスクはどうしようもないか?というと、そうではありません。

上で紹介した盛岡大学の論文の中で言及されている対策をご紹介しますね。

 

早期英語教育のリスク管理

早期英語教育のリスク管理

早期英語教育のリスク管理

 

以下の2点を説明します。

  • BICSとCALPに分けて考える
  • 母語(日本語)を軸とする

 

BICSとCALPに分けて考える

上で紹介したグラフでは、海外に行って2年程度でBICSが平均レベルまで伸びましたよね。

なので、BICSを伸ばすという目的においては、英語教育は早期のほうがいいと考えてもいいでしょう。(論文では、『いいかもしれない』という控えめな表現が使われています)

 

一方、CALPの修得には7年ほどかかるので、早期にやればいい、というわけではないようです。

セミリンガル状態によって両言語の発達困難が想定されるからですね。

早期英語教育を導入するには、日常生活を英語でやりとりするくらいの目標がよいのでしょう。

 

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母語(日本語)を軸とする

日本語でものごとを理解できるようになってから、CALPに関して英語を導入するとよさそうです。

CALPを日本語でしっかり修得すれば、授業の中身を理解できます。

そのうえで英語を学ぶことで、日本語と英語との対比をしながら中身を理解していけるので、むしろ相乗的な効果がありそうですよね。

 

英語を身につけさせたいあまり、日本語禁止で生活や学業に取り組ませるなんて、リスクそのものです。

母語で軸をしっかり作ってあげてから、英語に進みたいものです。

 

まとめ

本記事では、早期英語教育危険性について説明しました。

以下にまとめます。

 

ポイント

  • 盛岡大学紀要第30号から、早期英語教育の危険性として以下を紹介
    • セミリンガル:母語も外国語も中途半端になっている状態
    • カルチャーショック:外国で英語文化圏に慣れた後に帰国すると、文化の違いにより疎外感等を感じる
  • 早期英語教育のリスク管理のポイントとして、以下を紹介
    • BICS(生活言語能力)とCALP(学習言語能力)に分けて考える
    • 母語(日本語)を軸とする

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