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英語教育の新しい取り組み『イマージョン教育』を解説

2024年2月18日

英語教育の新しい取り組み『イマージョン教育』を解説
小学校からの英語教育について調べているんだけど、『イマージョン教育』というものがあるらしい。。どんな教育なんだろう??

 

知らないカタカナ語が出てきたら、気になりますよね。

スルーせずに、ぜひ本記事で調べてほしいです。

 

本記事では、英語教育における『イマージョン教育』がどのようなものかを、実例を交えて詳しく解説します。

ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

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イマージョン教育の定義

イマージョン教育の定義

イマージョン教育の定義

 

鳴門教育大学の伊東浩己さんの論文によると、イマージョン教育は以下のとおり説明されています。

母語とは違う第2言語で通常教科のすべて又は一部を教える教育的試み

(『カナダのイマージョン教育の成功を支えた教授学的要因に関する研究』、伊東浩己)

 

英語で『Immerse』は浸すという意味なので、外国語漬けにするという意味なんですね。

英語教育に例えて考えてみると、例えば日本の学校で、英語を使って理科や社会、図工や家庭科などを学ぶことになります。

先生の説明や教室での言語も英語ですが、学んでいる内容は理科や社会というわけです。

英語『』学ぶのではなく、英語『』学ぶ教育ですね。

 

イマージョン教育の歴史

イマージョン教育の歴史

イマージョン教育の歴史

 

イマージョン教育が始まったのは、1965年の秋です。

場所は、カナダのケベック州モントリオールの郊外にあるサン・ランベール初等学校です。

モントリオールのサン・ランベールってこんなところ↓

 

イマージョン教育の実験プログラムだったんです。

26名のクラスでしたが、募集から5分間で事前登録の枠が埋まったとのことで、人気ぶりがうかがえます。

 

イマージョン教育の目的

イマージョン教育の目的

イマージョン教育の目的

 

国立教育政策研究所の論文『アメリカ合衆国におけるイマージョン教育』に紹介されている論文によると、イマージョン教育の目的は以下の4つとされています。

イマージョン教育の目的

  • 第2言語能力(目標言語)の習得
  • 地域学区の規定する教科学習の達成
  • 異文化受容姿勢の育成
  • 母語の発達

 

わかりやすくまとめると、外国語(例:英語)を習得しながら各教科の内容を学習し、その過程を通じて異文化を受け入れる素養を身につけ、日本語も発達させていく。というものです。

これができればすごい成果ですよね!

 

イマージョン教育の原則

イマージョン教育の原則

イマージョン教育の原則

 

上述の目的を達成するために、イマージョン教育には原則があります。

原則から外れて教育機関が暴走すると本来の目的を達成できなくなってしまう、という羅針盤のようなものですね。

こちらも、国立教育政策研究所の論文『アメリカ合衆国におけるイマージョン教育』からの引用です。

イマージョン教育の目的

  1. 目標言語で教科学習を学ぶ
  2. 学習内容は、地域の教育カリキュラムに準ずる
  3. 加算的バイリンガリズムをめざす
  4. 子どもの母語使用を認める
  5. 目標言語との接触は学校の中だけである
  6. 入学時の子どもの目標言語の到達レベルはほぼ同等である
  7. 教師は目標言語と子どもの主要言語双方を習熟している
  8. 教室環境は、地域の学校文化に準ずる

 

母語や地域の文化を大切にしていることが伝わってきますね。

盲目的に『とにかく英語を話せる人材になれ!』というものではなく、その国や地域で成長しながらグローバリゼーションに対応する人材になろうね、というメッセージが見えます。

 

イマージョン教育の種類

イマージョン教育の種類

イマージョン教育の種類

 

イマージョン教育にはいくつか種類があるのですが、分類の仕方でパターンが分かれます。

アメリカ合衆国におけるイマージョン教育』を参考にさせてもらっています。

 

時期による分類

早期イマージョン

5歳〜6歳に開始するもので、就学前教育の一環ともとれます。

小学校に入る前から外国語に慣れていくものですね。

 

ただ、あまり早い時期から英語教育を徹底することには危険性も指摘されています。(参考:早期英語教育の危険性

 

中期イマージョン

7歳〜8歳から開始するものです。

 

晩期イマージョン

9歳〜10歳から開始します。

母語が十分に発達した段階で外国語に浸かるので、外国語の習得スピードが比較的遅いと考えられますが、母語の基本がしっかりしているので、学習内容の理解も早いと思われます。

 

外国語への接触時間による分類

全イマージョン

5歳〜8歳の早期〜中期の時期に、外国語(例:英語)のみで教科の学習を行い、そのあとに母語を授業に取り入れるものです。

 

部分イマージョン

5歳〜小学校卒業までの時期に、50-80%の割合で外国語で教科の学習を行い、母語も同時に取り入れていきます。

 

コミュニケーション方法による分類

一方向性イマージョン

元々はカナダで始まったスタイルです。

例えば日本の場合で考えると、全員が日本語を話す子どもですよね?

その子どもたちが同時期に英語で学び始める方法です。

 

双方向性イマージョン

双方向性イマージョンは、アメリカで発達したプログラムです。

例えば、日本語を母語とする子どもたちと、英語を母語とする子どもたちの混合クラスだとしますよね。

日本語と英語の両方を使って教科を学ぶんです。

子ども同士のコミュニケーションによって言語習得が早まりそうですよね。

 

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イマージョン教育のメリット

イマージョン教育のメリット

イマージョン教育のメリット

 

外国語の学習が進む

やってもやらなくてもどちらでもいいような総合学習的な扱いで英語を学ぶと、ごく限られた範囲でしか英語を知ることができません。

しかし、教科そのものを英語で学ぶのですから、生徒にも本気度が求められます。

その結果として、英語が自然と身についていくわけですね。

 

異文化への理解力が高まる

昨今、ダイバーシティ(多様性)への許容度は高まるばかりですよね。

この点、英語を使えるようになると、英語を使ったコミュニケーションが苦ではなくなり、結果として様々な人種との交流が可能になります。

彼らがどんな考えを持っているのかを理解することで、異文化への理解力が高まるわけですね。

 

イマージョン教育のデメリット

イマージョン教育のデメリット

イマージョン教育のデメリット

 

高額な学費

後で紹介しますが、現状では日本でイマージョン教育を取り入れている学校は私立です。

当然ながら公立よりも学費は高くなります。

 

母語の未発達

イマージョン教育をうまく行えないと、日本語がしっかりしていない段階で他言語を取り入れると、母語の発達が中途半端になるリスクがあります。

結果的に『どちらも中途半端』になりかねません。

一部の帰国子女がそうであるように。。

 

イマージョン教育と政策

イマージョン教育と政策

イマージョン教育と政策

 

2024年の段階では、文部科学省がカリキュラムにイマージョン教育を明記しているわけではありません。

ただし、平成26年の有識者会議では、以下の意見が挙がっています。

英語を特殊な技術でなく「ことば」の教育と捉えることが必要。ヨーロッパで見られるようなCLIL(Content and Language Integrated Learning、内容言語統合型学習)やイマージョン教育を取り入れることも有効ではないか。

 

小学校教育に英語教育を取り入れてはいますので、近いうちにイマージョン教育の導入に踏み切るかもしれませんね。

 

イマージョン教育を実践する学校

イマージョン教育を実践する学校

イマージョン教育を実践する学校

 

学校法人加藤学園(静岡県沼津市)

沼津市にある加藤学園の暁秀初等学校では、英語のイマージョン教育を1992年に日本で初めて導入しました。

学習カリキュラム自体は文科省の学習指導要領に沿っており、50%以上の比率で英語を使って教科を学んでいます。

参考URL:http://www.katoh-net.ac.jp/Elementary/09-2.php#A1

 

ぐんま国際アカデミー(群馬県太田市)

ぐんま国際アカデミーでは、教科の70%を英語で学んでいます。

12年間の一貫教育だからこそ可能な長期的な教育プログラムにより、英語以外の副次的な効果も生み出していると評判です。

 

まとめ

本記事では、イマージョン教育について説明しました。

以下にまとめますね。

 

本記事のまとめ

  • イマージョン教育とは、『母語とは違う第2言語で通常教科のすべて又は一部を教える教育的試み』と説明されている(鳴門教育大学の伊東浩己さんの論文)
  • イマージョン教育は、カナダのケベック州モントリオールのサン・ランベール初等学校の実験プログラムから始まった
  • イマージョン教育の目的は以下の4つ
    • 第2言語能力(目標言語)の習得
    • 地域学区の規定する教科学習の達成
    • 異文化受容姿勢の育成
    • 母語の発達
  • イマージョン教育の原則は以下の8つ
    • 目標言語で教科学習を学ぶ
    • 学習内容は、地域の教育カリキュラムに準ずる
    • 加算的バイリンガリズムをめざす
    • 子どもの母語使用を認める
    • 目標言語との接触は学校の中だけである
    • 入学時の子どもの目標言語の到達レベルはほぼ同等である
    • 教師は目標言語と子どもの主要言語双方を習熟している
    • 教室環境は、地域の学校文化に準ずる
  • イマージョン教育の種類
    • 時期による分類
      • 早期イマージョン
      • 中期イマージョン
      • 晩期イマージョン
    • 外国語への接触時間による分類
      • 全イマージョン
      • 部分イマージョン
    • コミュニケーション方法による分類
      • 一方向性イマージョン
      • 双方向性イマージョン
  • イマージョン教育のメリットは以下
    • 外国語の学習が進む
    • 異文化への理解力が高まる
  • イマージョン教育のデメリット
    • 高額な学費
    • 母語の未発達
  • イマージョン教育は文科省のプログラムに明記されているわけではないが、必要性を指摘されている
  • イマージョン教育を実践する学校を2つ紹介
    • 学校法人加藤学園(静岡県沼津市)
    • ぐんま国際アカデミー(群馬県太田市)

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