よい資料がありますよ。
ただし、文部科学省が調査し作った資料なので、難解な言い回しが多いです。
本記事では、文部科学省の調査結果をわかりやすく噛み砕いて解説します。
最後まで読んで理解を深めていただけたらうれしいです。
小学校からの英語教育の概要
英語教育はいまや小学校から行われる時代です。
小学校からの英語教育についての記事を作ったので、ぜひ参考にしてくださいね。
英語教育実施状況調査とは
目的
文部科学省が行なっている調査なのですが、目的は以下のとおりです。
英語教育の実施状況調査の目的
施策の結果を把握して次に活かすのは大事なことですね。
対象の年度
調査は令和4年度が対象です。
令和4年の12月1日が基準になっています。
対象の学校
この調査の対象は以下です。
調査対象の学校
- 各都道府県
- 市町村の教育委員会
- 公立の小中学校
- 小学校:18702校
- 中学校:9208校
- 高等学校:3280校
文部科学省の学習指導要領に従うのが公立の小中学校ですからね。
では、調査の結果を解説します。
小学校では誰が英語を教えているのか
小学校の教員というのは、ほぼ全教科を一人で教えています。
僕の母も小学校の教員でしたが、多岐にわたって教えていましたね。
調査結果をグラフにしました。
小学校からの英語教育についての記事で紹介したとおり、小学校の英語教育は3年生から始まっているので、対象も3年生からです。
3年生〜6年生のいずれも、過半数の学校で担任の先生が英語を教えています。
担任の先生は大変ですよね。。
これまでとは異なり『英語』までが範疇に入ってきて、しかも自分たちは小学校で学んでいないので、教え方もわからないだろうし。
その次に多いのが『専科教師等』、つまり英語の先生です。
5,6年生になってくると、専科教師等や他小学校の教師や非常勤講師の割合が増えています。
3,4年生とは少し内容が異なり、少しだけ高度になってくるので、担任の先生だけではカバーしきれないのだと思います。
英語力の傾向
次は、英語力がどうなっているのかを見てみます。
中学生
英語力の変化
以下のグラフは、平成23年から令和4年にかけて、CEFRのA1レベル(英検3級)以上を達成した中学生の数がどうなったかを表しています。
ちなみに、CEFRとは、Common European Framework of Reference for Languagesの頭文字をとったもので、ヨーロッパ言語共通参照枠などと訳されます。
グラフを見ると、不思議なくらいに右上がりですね。
令和4年度には、ほぼ50%の中学生が英検3級程度の英語力を身につけており、平成23年度からすると約2倍に増えています。
着実に英語の力がついているということでしょうか。
都道府県・指定都市別の英語力
下のグラフの色分けは以下のとおりです。
- 濃い青の棒グラフ: 英検3級以上を取得している生徒
- 薄い青の棒グラフ: 英検3級以上の力があると思われる生徒
- ピンクの折れ線グラフ: 令和3年度
- オレンジの直前: 令和4年度の全国平均
- 黒の直線: 目標値(50%)
いかがでしょうか?
2つ大きく抜きん出たピークがありますが、左側は福井県、右側はさいたま市です。
どちらも優秀な学校が多いイメージがあるので、僕としては納得ですね。
高校生
英語力の変化
高校生の場合、CEFR A2レベル(英検準2級程度)の英語力を目安にしています。
平成23年度は約30%で、令和4年度には約49%にまで上がっています。
1.6倍ほどに増えましたね。
都道府県・指定都市別の英語力
まずは英検準2級程度の英語力を見てみます。
左から以下がちょっと抜きん出ています。
- 秋田県
- 東京都
- 神奈川県
- 富山県
- 石川県
- 福井県
いずれも学力の高い地域です。
こう見ると、北陸ってすごい地域ですね。
B1レベル(英検2級〜準1級)だと、以下のとおりになります。
ちょっと見にくいですが、以下が抜きん出ています。
- 東京都
- 神奈川県
- 富山県
- 福井県
- 長野県
- 兵庫県
- 鳥取県
- 愛媛県
ここでもやはり北陸圏が出てきたのと、長野、兵庫、鳥取及び愛媛は英語に飛び抜けた人がいるんですかね。。
注意点
中学生、高校生ともに、年度を追うごとに右肩上がりのきれいな成長曲線を描いています。
穿った見方かもしれませんが、ちょっと怪しいです。
その理由は、薄い青色(中学生のグラフ)と薄い紫色(高校生のグラフ)の判断基準にあります。
- 公式でないテストの結果や、各教育委員会がモデル校での検証に基づいて定めた目安等を用いて
- 英語教師等が判断する
ここに裁量の余地がありまくりです。
文科省は自分たちの作った指導要領が効果的だと言いたいわけですから、右肩上がりの評価になるように、各教育委員会と握っていても不思議じゃありません。
個人的には、TOEFLなどの公式なテストの結果を厳然と適用した方がいいと思いますね。
外国語の学習時間の内訳
以下のグラフは、英語を使う時間の中で、話すことや読み書きにどれくらいの割合を使っているかを示したものです。
小学校では66%程度なのに、中学校、高校に進むにつれて、話すこと(やりとり&発表)の割合が減っていくんですね。
僕の父は中学校の教諭なのですが、『小学校では楽しくやっていた子が、中学校に進むと英語を嫌いになっちゃうんだよね〜。』と嘆いていました。
コミュニケーション手段としての本質を逸脱して、お受験用の時間を増やすと、そりゃあ退屈にもなりますよね。
英語の教員の状況
英語を使う割合
学校種別
中学校と高校の英語の教諭の英語使用状況を見てみます。
中学校では、全学年通して約75%の学校が『授業中の喋る言葉のうち少なくとも50%以上は英語』という状況です。
それが高校になると、一部の特殊な英語系学校を除いて、割合が45%前後に減ってしまいます。
都道府県別
では、都道府県別に英語の先生の英語使用状況を見てみます。
中学校を見てみると、『授業中の喋る言葉のうち少なくとも50%以上は英語』と答えた学校の割合が90%を超えている都道府県を挙げてみます。
左から、以下のとおりです。
- 秋田県
- 埼玉県
- 長野県
- 岐阜県
- 大阪府
- 和歌山県
- 山口県
- さいたま市
- 岡山市
- 広島市
高校を見てみると、『授業中の喋る言葉のうち少なくとも50%以上は英語』と答えた学校の割合が90%/を超えている都道府県を挙げてみます。
左から、以下のとおりです。
- 北海道
- 岩手県
- 岡山県
- さいたま市
- 千葉市
- 新潟市
- 浜松市
- 堺市
- 岡山市
- 広島市
富山県や石川県、東京都、神奈川県など、英語の成績がよかったエリアは出てきませんね。
これらの都道府県は、先生が授業で英語を話しているかどうかとは無関係に英語の成績がいい?のだとすると、考えさせられるものがありますね。。
イマージョン教育のように振り切ってしまえばいいのですが、そこまでできないのが公立の学校ですね。。
英語能力
先生がどれだけ英語の能力を獲得しているか、を見てみます。
CEFR B2(英検準1級)以上を取得している先生の割合を見てみると、中学校では平成25年に約28%だったものが、令和4年には約42%まで増えています。
高校では、平成25年に約53%だったものが、令和4年には約72%にまで増加しています。
これはひとえに、先生方の頑張りと言えるのではないでしょうか。
激務の裏で、英語の資格勉強にも精を出しているだなんて。。
ALT(外国語指導助手)の参画状況
学校種別にALTがどれくらい参画しているかを見てみます。
小学校では75-100%の割合でALTが関与している学校が約47%ありましたが、中学校では約7%、高校では約1%まで減っています。
読み書きの割合が増えるにつれて、その部分は日本人の教師でも得意な人が多いので、ALTの人数が減るのでしょうね。
ICT機器の活用
ICT機器とは、タブレットやPCなどの情報通信機器のことです。
小学校から高校までの結果を並べて見てみましょう。
表の下方にある他者とのコミュニケーションに関連する活動(以下)の割合が、小学校→中学校→高校と進むにつれて着実に増えていますね。
- 児童生徒が電子メールやSNSを用いたやり取りをする活動
- 児童生徒が遠隔地の児童生徒等と英語で話をして交流する活動
- 遠隔地の教師やALT等とティーム・ティーチングを行う授業
- 児童生徒が遠隔地の英語に堪能な人と個別に会話を行う活動
英語を使って他者とやりとりすることは、高度なスキルということなのでしょう。
最後に
本記事では、英語教育の実施状況調査(令和4年度版)を噛み砕いて解説しました。
公立の小学校から高校まで、英語力は年々高まっているという結果となりました。
英語の先生たちの英語力が上がっていることはもちろんですが、ICT機器の活用やALTの参画など、あれやこれやと試行錯誤した結果かもしれませんね。
願わくば、お受験英語に偏らずに、英語で生活したり仕事をするなど、コミュニケーションツールとして使えるようにしてほしいものです。
小学校のうちから英語を効率的に学んで、コミュニケーションツールとして使えるようになるには、楽しくコミュニケーションをとることです。
読み書きをやらせても子どもは飽きますからね。
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(*)Common European Framework of Reference for Languagesのことで、言語の習熟度や運用能力を測るヨーロッパの基準です。
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