教育にも急激に国際化の波が押し寄せている昨今、IB教育は要チェックキーワードです。
もちろん日本に住む日本人にもチャンスがあります。
ぜひ本記事でIBとはどんな教育なのかを把握していってくださいね。
IB教育とは?
国際バカロレア(IB)の概要
国際バカロレア(IB)は、1968年にスイスで設立され、現在では150以上の国と地域で実施されている国際的な教育プログラムです。
IBは、幼稚園から高校生まで幅広い年齢の子どもを対象としており、知識の詰め込みではなく、探究型学習を中心に、自己管理や批判的思考力を育てることに重きを置いています。
学習者が自ら考え、問題を発見し、解決策を見つけ出す能力を育む教育が特徴です。
IB教育の目的
IB機構の日本語資料『国際バカロレア(IB)の教育とは?』には、以下のように書かれています。
国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。
IBのプログラムは、教科、文化、国家、地理的な境界をこえた教育を提供し、新しい発想や効果的な関係性の構築につながる刺激となる批判的な取り組みを特に大切にしています
ぼんやりとしてはいますが、詰め込み型受験用教育ではなく、総合人間教育ってことは伝わってきますよね。
指導と学習の方法
公式ガイドブックによるとは、指導と学習の要点は以下のとおりです。
指導の方法
- 探究を基盤とした指導
- 概念理解に重点を置いた指導
- 地域的な文脈とグローバルな文脈において展開される指導
- 効果的なチームワークと協働を重視する指導
- 学習への障壁を取り除くデザイン
- 評価を取り入れた指導
学習の方法
学び方を学ぶ、をモットーに、以下の5つのスキルを重視
- 批判的思考(クリティカルシンキング )、創造的思考、倫理的思考などの分野を含めた思考スキル
- 情報の比較、対照、検証、優先順位づけなどのスキルを含むリサーチスキル
- 口頭および記述によるコミュニケーション、効果的な傾聴、および議論を組み立て ることなどを含むコミュニケーションスキル
- 良好な社会的関係を築いて維持する、他者の話を傾聴する、対立関係を解消する、 といった社会性スキル
- 時間や課題の管理といった管理・調整スキル、および感情やモチベーションを管理 する情意スキルの両方を含む自己管理スキル
IBの教員資格についても記事で解説したので、よければご覧ください。
世界におけるIBの普及
IBは、『グローバルに通用する国際資格』として、世界中の大学で高く評価されています。
特に、ヨーロッパやアメリカ、アジアなど多くの国でIBプログラムが導入されており、国際的な視野を持つ子どもたちが育つ環境が整えられています。
数字で見てみると、2024年9月時点では、世界で5800以上の学校がIBの認定校になっています(出典:国際バカロレア機構)。
IB教育のメリット
国際バカロレア(IB)は、子どもの学びを探究型学習を通して支えます。
たとえば、授業は一方的な知識の伝達ではなく、問題を自ら探し出し、解決策を考えることに重点を置きます。
これにより、以下の具体的なメリットを得られると考えられます。
自己管理能力と独立した学習の習慣が身につく
IBのカリキュラムでは、授業や宿題が単なる知識の暗記ではなく、プロジェクトベースの課題を通じて、自分で時間を管理し、問題を解決する力を伸ばします。
これにより、子どもは将来の進学や仕事においても必要なスキルを習得します。
社会人として世界・世間をわたっていくのに必要なスキルですね。
国際的な視野が広がる
IBは世界中で導入されており、さまざまな文化や価値観を学ぶことができます。
例えば、異なる国や背景を持つ生徒とのディスカッションを通じて、多角的な視点から物事を考える力が養われます。
これにより、子どもはグローバル社会で活躍するための準備ができるのです。
僕はIB教育を受けたわけではありませんが、インドネシアに赴任したことで国際的な視野というか、文化や違いへの寛容さを身につけることができました。
学生のうちから身につけられるのはうらやましい限りです。
進学やキャリアでの優位性
IBプログラムを修了すると、国際的に評価される資格が得られ、海外の名門大学への進学や、国際企業でのキャリア形成においても大きなアドバンテージになります。
多くの大学はIBを評価し、優先的に入学を認めることがあります。
IB機構のデータベースで、IB資格を持つ学生を受け入れる大学を探すことができます。
日本でのIB教育の導入状況
日本でも、近年IB教育の導入が進んでおり、特に文部科学省は『文部科学省IB教育推進コンソーシアム』をつくって、IBの普及を推進しています。
たとえば、国際的な視野を持った人材の育成が日本の未来を支えるとされ、文部科学省が認定する『IB認定校』の数は急速に増えています。
具体的には、国内の公立学校でもIBプログラムを採用する動きが見られ、2024年時点で全国で約250の学校が認定されています(一覧はIB教育推進コンソーシアムへ)。
文部科学省の動きを解説した記事を用意したので、よければご覧ください。
このような状況ですので、国際的な教育に関心のある家庭にとって、IBは現実的な選択肢となりつつあります。
さらに、IBプログラムは日本の教育制度と並行して進められ、日本の大学受験にも対応する内容が含まれています。
つまり、IBを修了しても、日本国内の進学を選ぶことができ、進学後のキャリアの幅も広がります。
このため、日本に住む子どもにとっても、国際的な視点を持ちながら、日本国内での進路選択にも強みを持つIBは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
IBのカリキュラムと評価方法
IBのカリキュラムの特徴
国際バカロレア(IB)では、生徒の年齢や発達段階に応じて4つのプログラムを提供しています。
IBの4つのカリキュラム
- PYP(プライマリー・イヤーズ・プログラム)
- MYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)
- DP(ディプロマ・プログラム)
- CP(キャリア・プログラム)
これらのプログラムはそれぞれ、探究型学習を中心に構成されており、幅広い科目を学ぶことで生徒の全体的な成長を促します。
PYP(プライマリー・イヤーズ・プログラム)
3-12歳向けのプログラムで、6つの学習領域(言語、社会、数学、科学、芸術、個人と社会)を探究型学習を通じて学びます。
子どもたちは好奇心を活かし、自己発見やチームワークを重視したプロジェクトに取り組みます。
MYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)
11-16歳向けのプログラムで、科目は8つ(言語、社会、数学、理科、デザイン、芸術、体育、個人と社会)に分かれます。
実生活に関連した課題を通して理論と実践を結びつけます。
DP(ディプロマ・プログラム)
IB教育のプログラムはDPから始まりました。
DPは16-19歳向けの2年間のプログラムで、6つの主要科目を選択しながら、エッセイ執筆や社会奉仕活動なども行います。
これにより、学術的な知識だけでなく、社会貢献意識や自己管理能力が養われます。
CP(キャリア・プログラム)
CPは16-19歳向けのプログラムであり、生徒が将来的に職場で遭遇しうる個人的・職業的なさまざまな状況に効果的に対応するための準備を目的としています。
評価方法
IBの評価は、伝統的なテストだけに依存しないことが大きな特徴です。
探究型の課題やプロジェクト、長期的なエッセイやプレゼンテーションが評価の一部を占めており、これらは生徒の思考力や自己表現力、批判的な視点を評価します。
また、特にDPプログラムにおいては、IB試験が学年の最後に行われます。
評価基準は世界共通で厳格に管理されており、成績は大学進学の際に利用されます。
DPプログラムの修了者は、この試験の結果をもとに、国内外の大学への進学がスムーズに行える仕組みが整っています。
IB教育を選ぶ理由
親の視点からIB教育を選ぶ理由は、将来の国際的な活躍を見据えたグローバルな視野と、子どもの成長に寄り添う教育環境です。
子どもの視点から見ても、IBは好奇心を引き出し、探究心を大切にするカリキュラムで、単に勉強をするのではなく、自分で考え答えを導く力を育てます。
特に、国際的な背景を持つ友人と出会い、異なる文化を尊重しながら学ぶことができる点が魅力です。
IB修了後の進路の可能性
IBディプロマ・プログラム(DP)を修了した子どもは、進学先の選択肢が広がり、海外の名門大学や国内のトップ大学への進学が有利になります。
IBで学んだ生徒は、多角的な視野と自立した学習能力を持つため、大学でも積極的に学び、活躍できる可能性が高まります。
さらに、学術的な成果だけでなく、社会貢献活動やリーダーシップの経験が評価されることも多く、将来のキャリア形成にも大きなプラスとなります。
まとめ
本記事では、IBとはどんな教育なのか、その概要をお届けしました。
以下にまとめます。
本記事のまとめ
- IBの概要
- IB教育とは、国際バカロレア機構が監修するプログラムに則った教育
- IB教育の目的は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成
- 指導の要点
- 探究を基盤とした指導
- 概念理解に重点を置いた指導
- 地域的な文脈とグローバルな文脈において展開される指導
- 効果的なチームワークと協働を重視する指導
- 学習への障壁を取り除くデザイン
- 評価を取り入れた指導
- 学習の要点
- 批判的思考(クリティカルシンキング )、創造的思考、倫理的思考などの分野を含めた思考スキル
- 情報の比較、対照、検証、優先順位づけなどのスキルを含むリサーチスキル
- 口頭および記述によるコミュニケーション、効果的な傾聴、および議論を組み立て ることなどを含むコミュニケーションスキル
- 良好な社会的関係を築いて維持する、他者の話を傾聴する、対立関係を解消する、 といった社会性スキル
- 時間や課題の管理といった管理・調整スキル、および感情やモチベーションを管理 する情意スキルの両方を含む自己管理スキル
- IB教育のメリット
- 自己管理能力と独立した学習の習慣が身につく
- 国際的な視野が広がる
- 進学やキャリアでの優位性
- IBのカリキュラムは、以下の4つ
- PYP(プライマリー・イヤーズ・プログラム)
- MYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)
- DP(ディプロマ・プログラム)
- CP(キャリア・プログラム)
- 評価方法としては、伝統的なテストだけに依存せず、探究型の課題やプロジェクト、長期的なエッセイやプレゼンテーションなども考慮
- IB教育を選ぶ理由は、将来の国際的な活躍を見据えたグローバルな視野と、子どもの成長に寄り添う教育環境や、国際的な背景を持つ友人と出会い、異なる文化を尊重しながら学ぶことができる点
- IB修了後は、進学先の選択肢が広がり、海外の名門大学や国内のトップ大学への進学が有利になる可能性