そういった疑問に答えます。
本記事では、以下の内容をわかりやすく図も入れながら解説します。
最後までお付き合いいただけたらうれしいです。
モンテッソーリ教具とは
モンテッソーリ教具とは、モンテッソーリ教育において使われる教材のことです。
教材と玩具の組み合わせ¥と考えれば、楽しみながら学んでいける道具ということになります。
モンテッソーリ教育の創始者であるマリア=モンテッソーリ自身が、子どもに教具をあたえて、子どもが楽しむかどうかを観察しながら作り上げており、子どもの成長に合わせて使用順序も決めてきた経緯があります。
先人たちの長い実験の積み上げによって、今のモンテッソーリ教具があるのですね。
モンテッソーリ教具と普通の玩具・知育玩具との違い
モンテッソーリ教具と、普通の玩具や知育玩具との違いを説明します。
モンテッソーリ教具と普通の玩具との違い
普通の玩具は、ただ楽しさを追求しています。
子どもがのめり込んで『楽しい。。ッ!』と思えるように工夫が凝らされています。
一方、モンテッソーリ教具は、『楽しさ』に『学び』が加わっています。
子どもを成長させる要素があるわけですね。
モンテッソーリ教具と知育玩具との違い
知育玩具は、もちろん子どもの知的能力を育むことを目的としており、そこに楽しさも考慮されていることでしょう。
しかしそれだけなのです。
モンテッソーリ教具は、子どもの成長過程との対応が練り上げられているので、使う順序があります。
また、何の能力を伸ばすかが明確になっているので、余計な機能は付いていません。
子どもの成長に特化したツールなのです。
次に、モンテッソーリ教具の『順序』について説明します。
モンテッソーリ教育における7つの敏感期と5つの教育
モンテッソーリ教育には『敏感期』と言われる7つの成長期があります。
また、その敏感期に対応するように5つの教育分野が定義されています。
7つの敏感期
7つの敏感期は以下のとおりです。
7つの敏感期
- 運動の敏感期
- 秩序の敏感期
- 感覚の敏感期
- 言語(話し言葉)の敏感期
- 言語(書き言葉)の敏感期
- 数の敏感期
- 文化の敏感期
また、年齢と紐づけるとこうなります。
『マンガでやさしくわかる モンテッソーリ教育』をもとにSakacky作成
幼少期は子どもがグングンと成長しますが、ただ闇雲に全体的に成長するのではありません。
成長する能力にも時期的にバラツキがあるのです。
詳細は、敏感期の解説記事を参照してくださいね。
5つの教育
モンテッソーリ教育における5つの教育とは以下の5つです。
5つの教育
- 日常生活の練習
- 感覚教育
- 言語教育
- 算数教育
- 文化教育
また、5つの教育を図にすると、以下のとおりになります。
『マンガでやさしくわかる モンテッソーリ教育』より
日常生活の練習が土台にあるのですが、他の教育を経るための基礎、根っこになっています。
次に感覚教育で五感を成長させていくのですが、五感は数や言語、文化の教育を受けるためには必要不可欠ですから、幹となります。
言語や算数の教育を受けながら、高度な理解を必要とする文化の教育にたどり着くわけですね。
感覚→言語→数→文化と、おおむね敏感期の順番に5つの教育を受けるようになっています。
参考: モンテッソーリ教具の系統図
参考までに、学術界で作られたモンテッソーリ教具の系統図を2つご紹介します。
まずは、分度器のような半円で教具の系統を示した図です。
次は、海外のStanding.E.Mさんの図を花岡隆行さんが訳したものです。
これらの図は、『ふむふむ、なるほど。』と見るには面白いですが、発達の順序がわかりにくいので、モンテッソーリ教師のマニュアルとしてそのまま使うことは難しいですね。
系統図の引用元:『モンテッソーリ教育における教具の系統図の検討一E.M.スタンデイングの図を中心に一』花関隆行
5つの教育に対応した教具の紹介
モンテッソーリ教育には、5つの教育分野があることを解説しました。
ここでは、その分野ごとにどのような教具が使われるのかご紹介します。
日常生活の練習の教具
日常生活の練習の教具は、日々の生活シーンで登場するものが多いです。
日常生活の練習の教具
- 野菜切り
- ピッチャーとコップ
- 着衣枠
野菜切り
子どもに野菜を切ってもらうには、子ども用の比較的安全な包丁が必要です。
モンテッソーリ教具の本質の一つは『本物であること』なので、切れないプラスチック包丁では用を成しません。
すみっこぐらしのデザインで、ちゃんと切れる包丁などはいかがでしょうか。
モンテッソーリ教育を受けた有名人を紹介した記事でも書きましたが、米国シェフのジュリア=チャイルズは、子どもと一緒に料理をすることを強く推奨しています。
ピッチャーとコップ
『マンガでやさしくわかる モンテッソーリ教育』でも紹介されていましたが、ピッチャーを使ってコップの飲み物を注ぐだけでも、教具を使ったお仕事になります。
子どもが使いやすいサイズのピッチャーを用意してあげましょう。
着衣枠
着衣枠は、ボタンやファスナーの開閉を練習する台のことです。
指先を使う練習にもなって、次の感覚教育や言語教育(書く)の準備になるんです。
感覚教育の教具
感覚教育の教具を5つご紹介します。
感覚教育の教具
- ピンクタワー
- 円柱さし
- 色板
- 雑音筒
- 触覚板
ピンクタワー
ピンクタワーは、大きさの違う10個のブロックを積み上げる教具ですが、大きさの感覚を視覚で培います。
この10個という数もポイントで、次の算数教育で10進法を学ぶ準備になるんです。
円柱さし
円柱さしは、大きさの異なる10個の円柱を、専用の穴にはめていきます。
大きさや数の感覚を養うのはピンクタワーと同じですが、円柱の頭の大きさが鉛筆のサイズと似ているので、言語教育(書く)の準備にもなるんですよ。
色板
色板は色彩感覚を養う教具で、色そのものを覚えたり、グラデーションに沿って並べたりして微妙な色の違いを見分けられるように学んでいきます。
雑音筒
雑音筒は、米ぬかや砂、小石などが入った木の筒を振って音を出し、似た音のものをグルーピングしたりして聴覚を養うものです。
触覚板
触覚板は、大きさの違う砂粒が塗られた板を触ることで微妙な違いを認識し、触覚を育てていくものです。
言語教育の教具
言語教育の教具を3つご紹介します。
言語教育の教具
- 砂文字板
- メタルインセッツ
- 絵カード合わせ
砂文字板
砂文字板は、砂で描かれた文字をなぞりながら声に出していくことで、視覚・触覚・聴覚を使って文字を覚えていくものです。
メタルインセッツ
メタルインセッツは、図形を描いて覚えるものです。
金属と木の本物の質感を味わいながら、描いて覚えます。
絵カード合わせ
絵カード合わせは、絵が描かれたカードとその文字の一致を繰り返し見て発音することで、その絵が何を表しているのかを学んでいきます。
動植物がいい例ですね。
算数教育の教具
算数教育の教具を3つご紹介します。
算数教育の教具
- 色ビーズ
- 算数棒
- 数合わせパズル
色ビーズ
色ビーズは、数をかぞえながら紐に通したりすることで、見た目の鮮やかさも楽しみながら数の概念を習得していきます。
算数棒
算数棒は、同じ長さの短い棒をつなげていき、大きな数をつくるものです。
数えやすいように、2色カラーとなっています。
数合わせパズル
数合わせパズルは、数字が描かれた板と、丸が描かれた板とを比べて、同じ数同士を合わせていくものです。
文化教育の教具
文化教育の教具を2つご紹介します。
文化教育の教具
- 地球儀
- 地図
地球儀
おなじみの地球儀ですが、陸地はザラザラ、海はスベスベになっています。
大陸が色分けされています。
子どもといろんな会話ができそうですね!
地図
世界地図で、大陸ごとに色分けされています。
そしてなんと、大陸につまみが付いていて、取り外しできるようになっています。
着脱式の大陸です。
教具を選ぶときのポイント
モンテッソーリ教具がたくさんありすぎて、何を基準に選べばいいか、疑問に思いますよね。
- 本物の素材
- 子どもサイズ
- 子どもがハマる
本物の素材
モンテッソーリ教具の最大の特徴と言っても過言ではありません。
本物の素材、つまり、木や石を模したプラスチックではダメなんです。
あくまで、本物の木や石、金属といった素材であることが求められています。
子どもがのちのち日常生活をスムーズにおくれるように、質感や重さ、切れ味などに慣れておく必要があります。
子どもサイズ
ピッチャーとコップのように、一般的に売られているものを買う場合は、子どもの慎重や手の大きさを考えましょう。
子どもから見た世界はすべてのものが大きくて扱いづらいので、サイズ感には注意したいところです。
子どもがハマる
子どもがハマることで教具を繰り返し使い、反復動作で学習していきます。
ただ、使ってみないとハマるかどうかがわからないのに、次から次へと教具を買って試すなんてできませんよね。
そんなときは、モンテッソーリ教具のサブスクを利用するのも手です。
ビブリオテーカ
ビブリオテーカは、モンテッソーリ教具専門のサブスクを提供しています。
モンテッソーリ教師と教具の選定について相談ができたり、お仕事(教具を使った作業のこと)の様子をインスタに投稿するとモンテッソーリ教師のコメントが来たり、サポートが手厚いです。
キッズラボラトリー
モンテッソーリ教具専門ではないですが、海外の木製知育玩具をたくさん取り扱っていますよ。
アンドトイボックス
モンテッソーリ教具専門ではないですが、リクエストすればモンテッソーリ教具を選んでもらえます。
プランナーが提案してくれるのがうれしいですね!
教具を使うときのポイント
教具を使うときのポイント4つを説明します。
- 環境を整える
- 子どもが選ぶ
- 提示する
- 観察する
環境を整える
子どもが集中して取り組める環境を整えることが大切です。
整理されたスペース、子どもサイズの椅子や机、子どもの動作を考えた配置など、親が整えてあげましょう。
子どもが選ぶ
子どもの自発的な取り組みが大事なので、どの教具を使いたいかは子どもに選ばせてあげましょう。
その方が楽しめるし集中できます。
結果として、学びも速くなります。
提示する
初めて使う教具は、子どもにとっては使い方がわからないもの。
親がお手本を示しましょう。
その際、子どもの動体視力でもわかりやすいように、ゆっくりとした動作で。
また、子どもが動作の観察に集中できるように、説明と動作は別々に。
観察する
子どもがどんな様子で教具を使っているのか、しっかり観察します。
観察することで、使いづらそうにしているポイントがあれば改善できるかもしれないし、集中している満足できるまで見守ればいいので、とにかく観察です。
まとめ
本記事では、モンテッソーリ教具について解説しました。
以下にまとめます。
本記事のまとめ
- モンテッソーリ教具とは、モンテッソーリ教育において使われる教材
- 普通の玩具に知的学びの要素を加えると知育玩具、知育玩具よりも成長の段階を考慮し系統的に作られたものがモンテッソーリ教具
- 7つの敏感期に対応して5つの教育があり、5つの教育に対応した教具がある
- 5つの教育に対応した教具を紹介
- 日常生活の練習
- 野菜切り
- ピッチャーとコップ
- 着衣枠
- 感覚教育
- ピンクタワー
- 円柱さし
- 色板
- 雑音筒
- 触覚板
- 言語教育
- 砂文字板
- メタルインセッツ
- 絵カード合わせ
- 算数教育
- 色ビーズ
- 算数棒
- 数合わせパズル
- 文化教育
- 地球儀
- 地図
- 日常生活の練習
- 教具を選ぶポイント
- 本物の素材
- 子どもサイズ
- 子どもがハマる
- 教具を使うポイント
- 環境を整える
- 子どもが選ぶ
- 提示する
- 観察する