うちの子どもがもしかしたらギフテッドかもしれないから、チャンスを掴めるようにギフテッドについて知っておきたい。
せっかく天与の才能を授かっているなら、自分の才能に気づいて生かしていきたいものですよね。
本記事では、ギフテッドがどういうものなのかを分かりやすく解説します。
ギフテッドに関する以下の書籍を読んだうえで書いています。
理解が深まると思いますので、最後まで読んでもらえたらうれしいです。
ギフテッドとは
ギフテッドの定義
実は、ギフテッドには『これだ!』という統一的な公式の定義がないんです。
一般には、なんとなく『生まれついての才能に恵まれた人』のようなイメージが強いのではないでしょうか。
ただし、いくつかの機関が定義を出しているので、紹介しますね。
米国連邦政府
1972年に米国議会に『マーランド・レポート(Marland Report)』という報告書が提出されました。
マーランド・レポートは才能教育に関して調査した結果をまとめたものですが、その中で『ギフテッド』は以下の通り定義されています。
知性、創造性、芸術性、リー ダーシップまたは特定の学問分野で⾼い達成能⼒を持ち、その能⼒を発揮させるために通常の学校教育以上の活動や⽀援を必要としている⼦ども
出典:外務省レポート
全米天才児協会(NAGC; National Association of Gifted Children)
全米天才児協会は以下の通りにギフテッドを定義しています。
Students with gifts and talents perform - or have the capability to perform - at higher levels compared to others of the same age, experience, and environment in one or more domains.
(1つまたは複数の領域において、同じ年齢、同じ経験、同じ環境にある他の生徒と比べて、より高いレベルで能力を発揮することができる子ども)出典:NAGC資料
2つの定義に共通するのは、『何らかの才能が集団から抜きん出ている』ってことですね。
発達障がいとの違い
詳しくは『ブレインクリニック』の解説に譲りますが、ギフテッドと発達障がいとの関係は3つに分けられます。
ポイント
①ギフテッド、発達障がいなし
②ギフテッド、発達障がいあり
③ギフテッドではない、発達障がい
この中で②は、2つの例外(Exception)が重なっていることから、特に2Eと呼ばれている状態で、ギフテッドなのに発達障がいとだけ診断されてしまいがちだそうです。
見落とさずに適切な診断を受けたいですね。
2E型のギフテッドについても記事を書いたので、参考にされてくださいね。
ギフテッドかつ発達障害の事例
ギフテッドと発達障がいが併存する事例を紹介します。
例えば、実話に基づく『レインマン』という映画をご存じでしょうか?
実在したキム・ピークという人物をモデルとして、ダスティン・ホフマンが演じています。
キム・ピークは、脳に障がいを持って生まれており、自閉症とサヴァン症候群を持っていました。
社会的な生活は困難なのですが、読んだ本を全部丸暗記するなど、『記憶』に関して突出した才能がありました。
生年月日を聞いたら即座に曜日を答えたり、床に落ちた爪楊枝の束の本数を瞬時にカウントしたり、およそ人間には到達できないレベルです。
ギフテッドとして才能に突出した場合の凄まじさを物語るエピソードですね。
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ギフテッドの特徴
ギフテッドの特徴を挙げてみます。
出典は以下の書籍です。
- インテンスである
- 物事を学ぶのが早い
- 非常に優れた記憶力を持つ
- ニュアンス、メタファー(隠喩)、複雑な概念を理解するのが早い
- 小学校に入る前から読み書きが出来ることが多い
- 非常にセンシティブ
- 幼い年齢から理想主義かつ正義感にあふれる
- 長い時間集中できる
- 深い質問をする
- ビビッドな想像力を持つ(幼少期に空想上の友達がいることが多いとか)
- ユーモアのセンスがある
- 問題を解くのが大好き(パズルなど)
インテンスというのは、激しい、極端、強烈という意味ですが、何かに強く執着してやり続けたりやり遂げたりすることを現しています。
これらの特徴の中で、ご自身やお子さんなどに思い当たる節はありますか?
能力の種があるのなら、伸ばしてあげたいですよね。
ギフテッドが抱える悩み
ギフテッドの子どもたちは悩みも抱えています。
それは自分の中の発育の問題や、人間関係に関することです。
非同期な成長
これは発育の問題なのですが、精神面、知力面、体力面などの成長の度合いがいびつになる傾向があります。
例えば、平均的な子が5歳までに、精神力5、知力5、体力5に到達するとします。
ギフテッドの子は精神力3、知力10、体力6など、発達段階にばらつき出やすいとのことです。
だから、計算や記憶が大人並みにできたとしても、他人への配慮ができなかったり、傷つきやすかったりするわけです。
これは圧倒的にできるのにあれは絶望的にできない。。子どもにとってはもどかしい状況ですよね。
同年代の子どもと話が合わない
同年代の子どもと話が合わないのは当然でしょう。
例えば数学の力がギフトされた子だと、学校での授業でなぜ先生があんなに陳腐な内容をしゃべっているのか、なぜクラスメートたちが答えを出せないでいるのか、いくら考えてもわからないのですから。
数学のことについてクラスメートと議論しようにも、会話が成立しないのです。
つらいことだと思います。
スティグマ(烙印)の回避
僕が読んだ書籍『アメリカ ギフテッド教育最先端に学ぶ 才能の見つけ方 天才の育て方』によると、ギフテッドな子たちは『何でもできる出来杉くんタイプ』という烙印を押されがちとのことです。
数学の才能が抜きん出ている点を見て、他も全部優秀に違いないと決めつけられてしまうわけですね。
先述の『非同期な成長』という特徴にもあるとおり、一人前にできないこともあるので、イメージとの葛藤に苦労してしまいます。
そこで、烙印を押されないように、普通の子のふりをする行動も見受けられるようです。
ギフテッドに気づいたきっかけ
ギフテッドに気づいたきっかけの一例を、書籍から紹介しますね。
オクラホマに生まれた『キム』という女の子は、ギフテッド教育で有名なデューク大学が行うタレントリサーチという発掘プロジェクトに引っかかったそうです。
まだ12歳だったキムは、学校の先生から大学受験生が受けるSATという全国統一試験を進められ、それをきっかけに人生を変えていきました。
キムのケースはアメリカならではの仕組みが奏功してしていますが、日本でもギフテッドを発掘する仕組みが機能するようになるといいですね。
ギフテッドの診断方法
ギフテッドの診断は難しいとされていますが、目安となる簡易な方法があるようです。
ここでは以下の2つをご紹介しますね。
- ギフテッド開発センターによる簡易テスト
- ウェクスラー式知能検査
ギフテッド開発センターによる簡易テスト
アメリカのGifted development centerが公開していたのですが、今は見られなくなっています。
代わりに、僕が読んだ以下の書籍に、著者が日本用に作ってくれた表があるので、ぜひ見てみてください。
簡単な質問に回答していくことで、ギフテッドかどうかを判断する目安になります。
ウェクスラー式知能検査
ウェクスラー式知能検査も広く普及している方法です。
総合的な知能指数(IQ)に加えて、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度などの能力を測定することができます。
IQが130を超えているようなら、ギフテッドの可能性はありますね!
ウェクスラー式知能検査の詳細はこちらのサイトを参照ください。
みっちり解説されています。
まとめ
本記事では、ギフテッドがどういうものかを事例とともに解説しました。
以下にまとめます。
本記事のまとめ
- ギフテッドの明確な定義はないが、マーランド・レポートや全米天才児協会が定義を公表
- ギフテッドは発達障害と共通点があるため、誤診されやすい
- ギフテッドを映像で観るなら映画『レインマン』がおすすめ
- ギフテッドの特徴は以下
- インテンスである
- 物事を学ぶのが早い
- 非常に優れた記憶力を持つ
- ニュアンス、メタファー(隠喩)、複雑な概念を理解するのが早い
- 小学校に入る前から読み書きが出来ることが多い
- 非常にセンシティブ
- 幼い年齢から理想主義かつ正義感にあふれる
- 長い時間集中できる
- 深い質問をする
- ビビッドな想像力を持つ(幼少期に空想上の友達がいることが多いとか)
- ユーモアのセンスがある
- 問題を解くのが大好き(パズルなど)
- ギフテッドが抱える悩みとして以下を紹介
- 非同期な成長
- 同年代の子どもと話が合わない
- スティグマ(烙印)の回避
- オクラホマに住むキムがタレントチリサーチによって発掘された
- ギフテッド診断の方法を2つ紹介
- ギフテッド開発センターによる簡易テスト
- ウェクスラー式知能検査