新しい概念ですから、気になりますよね。
本記事では、オルタナティブスクールがどういうものか、フリースクールとの関係なども、実例を交えながら解説していきます。
お子さんの学びの選択肢になるかもしれないので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
オルタナティブスクールとは?
オルタナティブスクールは、従来の公立学校教育とは異なる教育アプローチを提供する学校で、主に自主性や個性を尊重した教育方法を重視しています。
特に、不登校や集団生活に馴染めない子どもたちにとって、学びやすい環境としての役割が期待されています。
日本においては、公教育と比べて認知度は低いものの、『教育機会確保法』の施行により、教育の場が学校以外にも広がる可能性が増え、オルタナティブスクールの存在意義も強まっています。
フリースクールもオルタナティブスクールのひとつですね。
オルタナティブスクールの元になる主な教育方法
オルタナティブスクールにはさまざまな種類があり、それぞれ独自の教育方法を持っています。
以下に代表的な教育法を紹介します。
オルタナティブスクールの代表的な教育法
- シュタイナー教育
- モンテッソーリ教育
- イエナプラン教育
- サドベリー教育
シュタイナー教育
シュタイナー教育は、ドイツで生まれた教育法で、芸術や身体・心・知識のバランスを重視し、創造的な能力を引き出すことを目指しています。
子どもたちは、集中して一つの教科に取り組む『エポック授業(*)』や、アートや音楽といった芸術活動を通じて、総合的な発達を促進されます。
メモ
(*)エポック授業は、基本科目(国・算・理・社・フォルメン線描(初等部))は、毎朝1時間45分を使って、3週間前後ひとつの科目をじっくり学ぶこと(出典;学校法人シュタイナー学園)
シュタイナー教育を生み出したルドルフ・シュタイナーは、感情や意思に働きかける総合芸術<・b>としての教育体系を思い描いていたようです(日本シュタイナー学校協会)。
モンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育は、自立を促す環境を整え、子どもの自由な選択を尊重します。
年齢や発達段階に応じた専用の『教具』を用いて、五感を刺激する活動が中心です。
また、異年齢の子どもが一緒に学び、思いやりや社会性も育まれます。
モンテッソーリ教育とシュタイナー教育との違いについては、以下の記事を参考にしてください。
参考シュタイナー教育とモンテッソーリ教育の比較〜子どもに最適な学びを
子どもの教育方法について考えているけど、シュタイナー教育とモンテッソーリ教育ってどっちがどうなの?! 両者ともに特色があるので、共通点や相違点などをぜひ本記事で学んでいってくださいね。 ...
続きを見る
イエナプラン教育
ドイツのイエナ大学発祥のイエナプランは、異年齢のクラスにわけて教科の区別をせず、会話や遊び、仕事、イベントの4つの活動を通して学びます。
個々の主体性と共同体への貢献を重視し、自立しながら共生する力を育てることが目標です。
詳細については、日本イエナプラン教育協会の解説を参考にしてみてください。
サドベリー教育
サドベリー教育はアメリカ発祥で、子どもが学びたいことを主体的に選ぶ自由な環境を提供し、授業やテストもありません。
長所を伸ばしまくるアメリカの文化に合っていますね!
日本国内にも広がっていますが、費用や学校数の少なさが課題です。
日本の場合は、例えば東京サドベリースクールなどがあります。
オルタナティブスクールの特徴
オルタナティブスクールは、多様な学びのスタイルを提供する学校です。
具体的には、標準的な文科省のカリキュラムや指導方針から離れ、生徒の自主性を尊重し、個性や興味に合わせた学びを重視しています。
また、オルタナティブスクールでは、体験型の学習が多く、座学に依存しないところも特徴です。
例えば、農業体験や演劇活動、アート制作など、実践的な活動を通じて自己表現や協調性を育む教育が行われています。
シュタイナー学園や東京サドベリースクールといったオルタナティブスクールでは、生徒が自分の興味や好奇心に基づいて学習内容を選択できることが一般的です。
一方で、オルタナティブスクールは一条校(法律で定められた標準学校)として認可されていない場合が多く、公的な出席扱いとならないことがある点も注意が必要です。
ただし、一部の学校は私立として認可を受けており、所属する学校の許可があれば、在籍校での出席日数として認められることもあります(*)。
メモ
文部科学省『不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)』の別記1『義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて』
オルタナティブスクールが抱える課題
オルタナティブスクールにはいくつかの大きな課題が存在します。
高額な学費
その一つは高額な学費です。
多くのオルタナティブスクールは無認可であるため、行政からの助成金がない or 限定的で、運営費用は主に授業料に依存しています。
学歴の認定
また、無認可の場合が多いため、その場合は卒業しても正式な学歴として認められない点も課題です。
学校教育法で定められた教育機関としての認可がない場合、高校や大学進学時に学歴が不利になる可能性があるため、オルタナティブスクールを選ぶ際には将来の進路への影響を考慮する必要があります。
都市部への集中
さらに、都市部に集中している傾向も見られ、地方の子供たちにはアクセスが難しいという課題も浮き彫りになっています。
大都市や中規模都市には多くのオルタナティブスクールがある一方、人口の少ない地域では選択肢が限られており、家庭の引っ越しなどの対応が必要になる場合もあります。
このように、オルタナティブスクールは教育の多様化に貢献する一方で、学費や認可制度、地域格差など、解決すべき課題が残されています。
フリースクールの問題点もまとめましたので、よければ読んでみてください。
オルタナティブスクールの未来展望
オルタナティブスクールの未来は、日本の教育制度や社会のニーズの変化に伴い、さらなる発展が期待されています。
近年、経済産業省が推進する『未来の教室』プロジェクトでは、在籍する学校内ではありますが、オルタナティブ教育が重要な役割を担う存在として注目されています。
具体的には、登校できない生徒に対して、ICTを活用した個別教育を行うことで、教室以外の場所であっても本来の学習範囲を補填することに取り組んでいます。
また、一般財団法人オルタナティブスクール・ジャパン(ASJ)は、オルタナティブスクールを創りたい運営者に向けて、資金調達から運営までをサポートする活動を行っています。
こうした地道な活動を政府や民間が行なってくれているので、オルタナティブスクールはきっと少しずつでも普及していくと考えています。
保護者の役割と関わり方
オルタナティブスクールにおける保護者の役割は、通常の学校とは異なり、積極的な関わりが求められます。
多くのオルタナティブスクールでは、子どもが主体的に学びや生活を進めるための支援者として、保護者の協力が重要視されます。
たとえば、子どもの興味や関心に応じた教育方針の決定には、保護者とのコミュニケーションが欠かせません。
保護者が学校と連携してカリキュラムや学習環境について意見を交換することにより、子どもに合った学びの環境を実現しやすくなります。
また、オルタナティブスクールが提供する個性的な教育プログラムを理解するため、保護者自身が教育方針や学習方法について学ぶ姿勢も求められることがあります。
例えば、インフィニティ国際学院では、保護者を対象としたサマースクールを開催し、保護者が学びの理念を理解しやすい機会を設けています。
まとめ
本記事では、オルタナティブスクールについて解説しました。
以下にまとめます。
ポイント
- オルタナティブスクールとは、従来の公立学校教育とは異なる教育アプローチを提供する学校で、主に自主性や個性を尊重した教育方法を重視
- オルタナティブスクールの元になる主な教育方法として、以下を紹介
- シュタイナー教育
- モンテッソーリ教育
- サドベリー教育
- オルタナティブスクールの特徴としては、文部科学省のカリキュラムから離れて、自主性を尊重した教育を提供。また、体験型の授業が多い。
- オルタナティブスクールが抱える課題として以下を紹介
- 高額な学費
- 学歴の認定
- 都市部への集中
- オルタナティブスクールの未来展望としては、文部科学省だけではなく経済産業省も『未来の教室』の取り組みを行なっており、一般財団法人オルタナティブスクール・ジャパン(ASJ)もオルタナティブスクールの普及に尽力していることから、普及し定着していく未来を想像
- 保護者としては、従来の学校よりも積極的な関わりが求められ、カリキュラムや学習環境について子供やスクール側とのコミュニケーションが重要