そういった声に応えます。
本記事では、STEM教育への批判を客観的にご紹介し、冷静に考えてもらうための材料を提供します。
内容はこんな感じです。
本記事の内容
- STEM教育はどんなものか
- 日本のSTEM教育への批判
- STEM教育自体への批判
- STEMな職場の様子
STEM教育をただ礼賛するだけでなく、批判的な視点も持つことで、客観的にみることができます。
ぜひ最後までお付き合いください。
STEM教育とは
STEM教育とは、以下の頭文字をとったものです。
- Science(サイエンス、科学)
- Technology(テクノロジー、技術)
- Engineering(エンジニアリング、工学)
- Mathmatics(マスマティクス、数学)
科学、技術、工学、そして数学。
つまり、STEM教育は理系教育なんです。
STEM教育の解説記事を用意したので、参考にしてみてくださいね。
そんな理系まっしぐらなSTEM教育ですが、この日本のSTEM教育には批判が集まっているのです。
日本のSTEM教育に向けられる批判
日本のSTEM教育に向けられる批判はこんな感じです。
日本のSTEM教育への批判
- 世界の中で相対的にやばい
- カリキュラムが変わらなさすぎ
- 教員が現場を知らなさすぎ
個別に説明します。
世界の中で相対的にやばい
STEM教育がどのように世界の国々で取り組まれているかを見てみましょう。
OECD(経済協力開発機構)の調査によると、STEM分野を専攻する学生の割合(2017年)は、OECD平均が27%であるのに対して、日本は19%と2/3程度です。
技術立国を掲げていた日本が、ですよ?
【10月11日は #国際ガールズデー 】
👧女の子たちが力を発揮できる世界の実現に、男女平等の教育環境はかかせません✨
多くの国でSTEM分野(科学・技術・工学・数学)は高い需要があるのに、進学📚する女子生徒(グレー)は男子生徒(緑)に比べて低すぎます。社会環境や慣習から女の子を解放しませんか❓ pic.twitter.com/81vHbpUeXT
— OECD東京センター (@OECDTokyo) October 10, 2019
女性の割合が低いことも問題ですね。
資源を持たない日本は技術で身を建てていくべきなのに、学生が少ないのは寂しい現実です。
カリキュラムが変わらなさすぎ
日本の教育、特に文部科学省が管轄する公立の小中学校については、基本的に10年間は同じ学習指導要領を使い続けます。
この時間感覚のヤバさ、伝わりますか?
『Windows95が登場したなぁ。。すごくね?』って言ってる頃からスマートフォンが登場するくらいまで、同じ指導要領を使い続けるんですよ?
世の中が変わろうとも、お構いなしに!
外国語や歴史、生物などの分野とは違って、STEM分野は変化がとてつもなく速いのに、学習指導要領が10年間も変わらないって。。ありえない遅さです。
教員が現場を知らなさすぎ
教員は、採用試験に合格すると、大学卒業後にそのまま教員になります。
つまり、社会人生活を経験せずにいきなり『先生』と呼ばれるわけです。
先生たちは、STEM分野の現場がどのようなものかを知らずにSTEM教育をすることになりますよね。
実用的で生きた学びを提供できるとは思えないです。
なので、生徒としても『これ、学ぶ意味があるのかな。。?』って疑問を抱いてしまいます。
数学なんて、使われるシーンをイメージできないと、本当に意味がない学びだと思われちゃいます。。
STEM教育自体に向けられる批判
STEM教育自体に向けられる批判としては、以下のとおりです。
ポイント
- お勉強が先になっている
- 感性が乏しい子になる
- 教員が足りない
お勉強が先になっている
STEM教育に含まれる学問は、産業の中で使われてこそ生きる学問です。
原理や原則を使って色々な工夫をして、発明を生み出し、イノベーションを起こします。
そうやって文明を進化させていくのです。
だから現場を知ることがとても重要になってきます。
実際のところ、僕も頻繁に発明をしますが、現場の課題と学問領域を高速に行き来しながら考えています。
ところが、現場を知らない教員が、同じく現場を知らない生徒にSTEMの学問知識を授けるのは、井の中の蛙が子どもの蛙に得意げに語っていることに他なりません。
感性が乏しい子になる
STEM教育の科目である科学、技術、工学そして数学は、論理のオンパレードです。
論理にもとづいてさまざまな課題に取り組んでいきます。
左脳優位な分野ですね。
感性はどちらかというと右脳の担当ですので、左脳ばかり発達させると論理と感性のバランスが崩れ、人としての感受性が乏しい人間に育ってしまう、という指摘があります。
ただ、四六時中STEMばかり勉強するわけではありませんよね。
理系に寄せたカリキュラムで学ぶくらいのものです。
私生活で十分に右脳を使えば、バランスの悪い脳にはならないと思います。
また、STEAM教育という概念もしっかり存在しています。
- Sciene
- Technology
- Engineering
- Art
- Math
STEM教育にArt(芸術)を加えてSTEAM教育ですね。
STEM教育の解説記事で色々な略語を紹介しているので、ぜひ見てみてください。
教員が足りない
STEM教育を適切に教えられる教員が足りないのです。
すでに解説したとおり、STEM教育での学びは産業で使われてこそ真価を発揮します。
大学からそのまま教員になった人に、産業での意義や応用の現場を理解している人はほぼいません。
産業分野で働いたことがないのですから。
つまり、『教員は多いけどSTEM教育を適切に教えられる教員が少ない』となるのです。
学校の現場に、産業で活躍しているエンジニアや研究者を連れてきて授業をしてもらうとか、産業での一定の勤務経験を教員採用の要件にするなど、産業分野との関係を深めていきたいですね。
今話題のSTEM教育【Groovy Lab in a Box】
STEMな職場の様子
僕は、プラントエンジニアリング会社で設計や開発の仕事をしています。
まさにSTEM分野のど真ん中で働いているんです。
そんな現場の様子をお伝えするので、STEM教育が批判されるべきものかを考えてもらえたらうれしいです。
STEMな職場
- 男子校?!
- 自分たちの手でモノを形にできる
- STEMの学びを活用
- かなりハード
個別に解説します。
男子校?!
まるで男子校です。
経理や人事など、STEMから離れた部署は共学の学校みたい(むしろ女子校)ですが、研究や開発、設計などのSTEMどっぷり系部署は、まるで男子校です。
最近では、柔軟な働き方ができるようになったおかげなのか、女性のエンジニアが増えてきたのですが、半数にはまったく届きません。
理系=男!のイメージはいまだに根強いのでしょうね。。
STEM教育とジェンダー格差について記事を書きましたので、読んでみてくださいね。
自分たちの手でモノを形にできる
STEM分野の職場のいいところは、自分たちの手でモノを形にできる点です。
もっと言うと、理論と現物を結びつけられるのです。
他の業種を揶揄するつもりはありませんが、世の中に溢れる現物は僕らのようなSTEMワーカーが理論を具現化したものなのです。
その点には強い自負を持っています。
ガスコンロから都市ガスが出るのも、電力を問題なく使えているのも、頑丈な橋を渡れるのも、STEMワーカーの血と汗と涙と残業と、あとは残業の賜物なんです。
『自分たちがつくったんだ。。ッ!!』という自負が、STEM職種の醍醐味ですね。
STEMの学びを活用
STEM分野の学びを日々使っています。
高校や大学の教科書をデスクに置いているほどです。
読めないギリシャ文字が頻出する高等数学は使っていませんが、物理、化学、数学、IT。。こういった分野の知識を日々使っています。
『将来何の意味があるんだ・・・ッ?!』と嘆いている子どもがいたら、この状況を教えてあげたいです。
普通に仕事で使っていますよ。
かなりハード
STEM分野の仕事は比較的ハードだと思います。
それは、モノを基準にして動いているからだと思います。
モノが納期に間に合わなければ残業が積み重なりますし、モノが壊れたら残業が積み重なります。
また、文明進化に応じて求められるモノが変わっていくので、進化が早い現代だと、新しいモノを次から次へと開発して市場のニーズに応え続けなければなりません。
ダイナミックな働き方になることは間違いないですね。
まとめ
本記事では、STEM教育への批判について解説しました。
以下にまとめます。
本記事のまとめ
- STEM教育とは、
- 日本のSTEM教育にこんな批判が向けられている
- 世界の中で相対的にやばい
- カリキュラムが変わらなさすぎ
- 教員が現場を知らなさすぎ
- STEM教育自体にはこんな批判が向けられている
- お勉強が先になっている
- 感性が乏しい子になる
- 教員が足りない
- STEM分野の職場の様子(Sakackyの職場)
- 男子校?!
- 自分たちの手でモノを形にできる
- STEMの学びを活用
- かなりハード