そういった疑問に答えます。
まず、STEM教育は選択肢としてアリ寄りのアリです!
STEM全開で毎日仕事をしている僕からすると、STEM教育は全人類の基礎教養としてといいくらいですよ。
本記事では、以下の内容で、STEM教育とジェンダー問題について解説します。
本記事の内容
最後までお付き合いいただけるとうれしいです。
STEM教育とは
STEM教育とは、以下の4科目の頭文字をとったものです。
- Science(科学)
- Technology(技術)
- Engineering(工学)
- Mathmatics(数学)
いわゆる理系の教育、特にものづくりに必要な教育ですね。
STEM教育の解説記事が参考になりますので、読んでみると理解が深まりますよ。
STEM教育におけるジェンダー問題の現状
ここでは、STEM教育の観点でのジェンダー問題の現状をご紹介します。
内閣府の資料
内閣府が公表した調査結果によると、アメリカ、イギリス、ドイツ、ノルウェイ、シンガポール、韓国および日本の女性研究者の割合がわかります。
わかりやすくグラフ化したので、ご覧ください。
イギリスやノルウェイは2013年時点では、研究者の女性比率は4割近いのですが、韓国や日本は2割にも満たずです。
(内閣府資料に基づき筆者作成)
ドイツのように10%近く改善していれば努力の成果と認められるのですが、日本の比率の伸びは芳しくありませんね。
いずれにしろ、2013年時点では4割にも満たないのは、男女の人口比率を考えると少ないと言わざるを得ません。
OECDの調査結
OECD(経済協力開発機構)に加盟している国における、科学分野の女性の割合です。
平均値は32%で、最多のポーランドでも42%です。
日本は最下位。。
男性と同じくらいの比率の国もありますが、比率が大きい国でも『男性と同じくらい』なのです。
こう見ると、STEM分野における女性比率は世界的にも相対的に低いことがわかりますし、日本は顕著です。
状況は改善しているのですけどね。
STEM系職場の様子
僕はSTEM教育をがっつり受けて、就職してからもずっとSTEM系の職場で働いています。
プラント建設の会社で設計や開発をやっているので、毎日のようにSTEM、STEMです。
STEMじゃない日はありません、てほどにSTEMです。
そんな職場に長年いて感じるのは、女性のエンジニアが増えたなぁ〜ってことです。
体感として、10年ほど前は数%でしたが、今では20%程度います。
難関国立大学の理系院卒のガッチガチの理系で、めっちゃ優秀です。
他の会社の状況を聞くことがありますが、同様に女性エンジニアは増えていますね。
育休や産休、時短などの制度が男女問わず使えるようになったので、以前よりも働きやすくなったのだと思います。
こちらの記事でもSTEMな職場の状況をお伝えしています。
STEM教育におけるジェンダー問題の原因
STEM教育の分野では、女性の割合が少ないことは事実としてあります。
では、なぜ少ないのでしょうか。
僕は3つの理由があると思います。
STEM分野に女性が少ない3つの理由
- 旧来の価値観を持つ親
- 社会における情報の刷り込み
- 就業環境
個別に説明します。
旧来の価値観を持つ親
子どもの教育進路を決める際、大きな影響を持つのが親です。
学校や塾の先生も影響力があるでしょうが、家庭で小さい頃から育ててきて、教育のスポンサーになる親は、絶大な影響力を持つと言ってよいでしょう。
本記事を読まれているあなたが女性だとしたら、進路について親からどのような影響を受けたでしょうか?
STEM分野を勧められたり、STEM系職業の魅力を語ってくれたでしょうか?
おそらくほとんどの場合、Noだと思います。
長い時間を過ごす家庭において、STEM分野が何なのか、進路の選択肢としてイメージできるのか、そういったことを考える機会が少ないことが、一つの原因と考えます。
社会における情報の刷り込み
テレビや漫画、アニメが職業観に与える影響って、強くないですか?
STEM分野って、そういった情報媒体に登場しにくいんですよ。
コードブルーで医学が、半沢直樹で金融や経営学が、朝ドラ『マッサン』では起業が取り上げられていますが、STEM分野を全面に出した作品は本当に少ないんです。
人気がないから取り上げないのか、取り上げないから人気が出ないのかはわかりませんが、とにかく登場しないんですよね。
だから実情がわかりにくいし、憧れの対象にもなりにくい。
さらに言えば、女性が主人公の作品でSTEMを全面に出したものなんて、まぁまずありません。
僕が知る限りは、『なっちゃん』くらいです。
このように、マスメディアを通した人々への露出の少なさも、一つの原因だと思っています。
就業環境
就業環境にも問題があると考えます。
具体的には、産休や育休を取るのが主に女性で、子どもが急に熱を出して迎えにいくときも、女性が対応する傾向、ありませんでしたか?
夫婦で働いている場合、どちらかといえば女性側がそういった負担を強いられてきたように思います。
男性側には、『仕事>家庭』の価値観が職場から求められてきたように思います。
こうした仕事観が有形無形のアプローチで押し付けられてきたことも、原因の一つだと考えます。
問題ばかり見ても寂しいので、これから何ができるか説明したいと思います。
女性がSTEM分野に進むために幼少期からできること
女性が自分の意思でSTEM分野を躊躇なく選択していくために、幼少期から以下の5つに注力すべきと考えます。
STEM分野に進むために幼少期からできること
- 偏見や価値観の植付けの回避
- 英語の習得
- コンピュータスキルの習得
- STEM教育の環境整備
- STEM分野での楽しい体験の提供
個別に説明します。
偏見や価値観の植付けの回避
これから進路を考えようとしている子ども、またはもっとその前の子どもに対して、『○○の職業がいいよ〜』と先入観を与えないようにしたいですね。
子どもは純粋なので、信じてしまう場合があります。
本人の才能を最も発揮できる分野がSTEM分野にあったとしても、幼少期の刷り込みで才能に気付くことなく一生を終える。。なんてのは不運です。
子どもには、将来を中立的な視点で選ばせてあげたいですね。
そういう意味では、モンテッソーリ教育のようなスタイルがいいのかもしれません。
モンテッソーリ教育は、STEM分野で活躍する偉人も多数輩出していますしね。
英語の習得
上で紹介したように、日本よりも海外のほうがSTEM分野を選択する女性の割合が多いのです。
この状況は急には変わらないでしょう。
だとすると、今の女の子が職業を選択する年齢になっても、海外の方がSTEM分野に進みやすいと予想できます。
ゴールデンエイジの頃から英語を学び、海外で働ける英語力を身につけておくことは、とてもよい準備だと考えます。
STEM分野に進まなくても、いつでも海外で働ける語学力があれば、職業選択の幅が広がりますしね。
最高の投資です。
コンピュータスキルの習得
コンピューター分野は、STEMのT: Technologyに該当します。
プログラミングなどのスキルに早いうちにから慣れておくことで、STEM分野を選択しやすくなりますよね。
コンピューター関連の職業はリモートでも働きやすいので、体力に自信がない女性も選びやすいのではないでしょうか。
STEM教育の環境整備
女の子の場合、よかれと思ってぬいぐるみやママごとなどのおもちゃを与えていませんか?
そして、親も子どもの前でSTEM分野とはほど遠い活動をしていませんか?
子は親を見て育つので、そのような環境ではSTEM分野に興味を持ちにくいです。
コンピューターや実験セット、工作セットなど、STEM分野に関連するグッズを置いてもいいし、親が日常的にSTEM分野に親しんでおくと、子どもはSTEM分野に慣れます。
意識の中にSTEM分野が存在すれば、他の分野と平等に選択肢として考えることができるようになります。
STEM分野での楽しい体験の提供
女の子だとなかなか難しいかもしれませんが、STEM分野での楽しい経験を積ませてあげてはどうでしょうか。
楽しさとセットになっていれば、STEM分野を選びやすいです。
例えば、プラネタリウムをきっかけに、親子で宇宙について調べて話し合ったり、科学ミュージアムに行って、物理化学について話し合ったり、やれることはいくらでもあります。
ただ、親もそれなりの知識を持っていないと対応しきれないですが、ご自身のリスキリングの一貫として取り組んでみるのもいいと思いますよ。
その際、図解シリーズの本で学んでみることをおすすめします。
文章だけだと眠すぎますが、図解があればイメージとして理解できますからね。
宇宙や科学ならこんな感じの本です。
まとめ
本記事では、STEM教育におけるジェンダー問題を取り上げました。
以下にまとめます。
本記事のまとめ
- STEM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathmatics(数学)の頭文字をとったもの
- 内閣府やOECDの資料によると、STEM分野を選択する女性の割合は高くても50%程度で日本は20%にも満たないが、増加中
- STEM分野の職場では、一昔前より女性エンジニアが増え、皆めっちゃ優秀
- 女性がSTEM分野に少ない原因として以下を説明
- 旧来の価値観を持つ親
- 社会における情報の刷り込み
- 就業環境
- 将来的にSTEM分野を選択できるようになるために、幼少期からできることとして以下を説明
- 偏見や価値観の植付けの回避
- 英語の習得
- コンピュータスキルの習得
- STEM環境の整備
- STEM分野での楽しい体験の提供
STEM分野で働くことには醍醐味がたっぷりありますので、子どもの将来の選択肢として考えてもらえたら、エンジニアとしてうれしいかぎりです。