地球科学をキャリアとして考えるのも、大いにありだと思いますよ!
でも実際、どんな分野なのかがわからないと判断できませんよね。
本記事では、地球科学で学ぶことや実生活での応用のされ方、キャリアなども解説しますので、ぜひあなたの判断材料にしてくださいね。
地球科学とは何か
地球科学とは、簡単にいうと、地球そのものやその構成要素、さらに地球上で起こる様々な現象を研究する学問分野です。
この学問は、地質学、地球物理学、気象学、海洋学、環境科学など、複数の専門分野に分かれており、地球の内部構造から気候変動まで、広範囲にわたるテーマを扱います。
筑波大学の興野研究室では、以下のように述べています。
地球科学の目指すところは,「自然の仕組みを理解すること」
一言で表現すればそういうことなのでしょうね。
詳しくみていきます。
地球科学に含まれる分野
地球科学は、地球の多様な側面を研究するため、いくつかの専門分野に分かれています。
主要な分野をご紹介しますね。
地質学 (Geology)
地質学は、地球の固体部分、つまり岩石や鉱物、地層、そしてそれらの形成過程を研究する分野です。
日本地質学会曰く、プレートテクトニクスも絡めた概念として、もう少し広い意味で『地球を知る』ということらしいです。
地球物理学 (Geophysics)
地球物理学は、地球の物理的な特性を研究する学問です。
僕の母校である東北大学は、以下のとおり定義しています。
地球物理学は、物理学を基礎とし、固体地球、海洋、大気、超高層大気、電磁圏、そして惑星圏を研究する広い学問領域の総称です。
地震、火山噴火、大気・海洋現象、オーロラ、磁気嵐などの、さまざまなスケールの自然変動を学んで、その仕組みを理解し、予測に役立てています。
気象学 (Meteorology)
気象学は、大気の動きや天気、気候に関する研究を行う分野です。
東北大学では以下のとおり定義しています。
大気中に起こる現象を扱う自然科学の一分野で、気象とその仕組みを研究する学問のことを言います。
気候変動や異常気象が注目される現代において、気象学の役割はますます重要になっています。
海洋学 (Oceanography)
海洋学は、地球の海洋を対象とする学問です。
海流、波、潮汐、海洋生物、生態系など、海洋に関する多様な現象を研究します。
日本海洋学会が動画を公開しているので、イメージを持ちやすいかもしれません。
ちなみに、『海洋学部』は日本では東海大学のみが持っています。
環境科学 (Environmental Science)
環境科学は、地球の環境に関わる問題を解決するための学問です。
『地球環境科学』ではありますが、神奈川大学による説明は以下です。
地球全体を視野に入れ、人間の活動が環境に及ぼす影響を扱う学問です。
大気汚染や水質汚濁、土壌劣化などの環境問題を研究し、持続可能な社会の実現を目指します。
地球科学の実生活への応用
地球科学は、私たちの生活に多大な影響を与える学問であり、その応用範囲は非常に広範です。
地球の仕組みを理解することで、自然災害の予測や資源の効率的な利用、環境保護など、さまざまな分野で役立てられています。
自然災害の予測と防災
地球科学の最も重要な応用の一つは、自然災害の予測と防災です。
最近は自然災害も激甚化していますからね。。
地震学や火山学の進展により、地震や火山噴火の予測精度が向上しており、これにより被害を最小限に抑えるための防災対策が可能になっています。
たとえば、地震や火山活動のモニタリングシステムは、災害発生前の早期警報を提供し、避難指示や緊急対策の実施に役立っています。
気象庁は、こんなに多くの火山でモニタリングしているんですね。
センサー類も多様で、地震計、傾斜計、空振計、監視カメラなどを駆使しています。
資源探査と持続可能な開発
地球科学は、エネルギー資源や鉱物資源の探査にも大きな貢献をしています。
石油や天然ガスの探査では、地質学や地球物理学の知識が活用され、これらの資源を効率的かつ安全に開発することが可能となります。
また、再生可能エネルギーの研究にも地球科学が貢献しており、地熱エネルギーや風力エネルギーの最適な利用方法を模索しています。
環境保護と気候変動への対策
地球環境の保護と気候変動への対応も、地球科学の重要な応用分野です。
気象学や環境科学は、気候変動のメカニズムを解明し、将来の気候変動シナリオを予測する手段を提供しています。
これにより、二酸化炭素の排出削減や自然環境の保護に向けた政策立案が可能になり、持続可能な社会の実現に貢献しています。
実は、二酸化炭素よりも水蒸気の方が温暖化に寄与しているって、知ってました??
地球環境研究センターによると、温室効果のうち、5割は水蒸気、2割は二酸化炭素によることがわかっているそうです。
都市開発とインフラ整備
地質学や地球物理学は、都市開発やインフラ整備にも応用されています。
建設現場での地盤調査や、地すべり・液状化現象のリスク評価は、安全で持続可能なインフラ整備の基盤を提供します。
また、地下水の管理や廃棄物の処理に関する知識も、都市の環境を維持するために不可欠です。
廃棄物を捨てたら、どこに流れてどのように変化して、最終的にどこに堆積するとか、そういうことがわからないと無闇に扱えませんよね。
地球科学における最新のトレンド
地球科学の分野は、急速に進化し続けており、最新の研究や技術革新が私たちの地球に対する理解を深めています。
ここでは、地球科学における主要なトレンドと現在注目されている研究分野について紹介します。
極地研究
気候変動に関連することなのですが、北極や南極の氷床がどのように溶解し、海面上昇に影響を与えるかを調査する極地研究が注目されています。
日本にも、国立極地研究所という専門の機関まであるんですよ。
地球観測技術の進化
人工衛星を使ったリモートセンシング技術やドローンを利用したデータ収集が普及し、地球表面の詳細なマッピングや災害監視がより精度高く行われるようになっています。
また、衛星データを使った大気、海洋、地表のモニタリングも、気象予測や環境保護において重要な役割を果たしています。
日本では、JAXAが先駆者ですね。
地質学における資源探査の革新
エネルギー資源や鉱物資源の探査技術も、最新の地球科学研究によって大きく進化しています。
特に、持続可能な資源利用を目指す取り組みとして、再生可能エネルギー源の開発が進んでいます。
地熱エネルギーや炭酸ガス回収・貯留技術(CCS)は、環境負荷を軽減しつつエネルギーを確保するための新しい研究分野として注目されています。
日本だと、JOGMECという会社がオーソリティですね。
人工知能(AI)とビッグデータの活用
これは地球科学の分野に限ったことではないですが、AIとビッグデータは、革新的な研究・作業補助ツールとなっています。
これらの技術を用いることで、大量のデータから新しい洞察を引き出すことが可能となり、地震予知、気候予測、災害対策など、幅広い分野で活用が進んでいます。
人間では気づかないパターンを認識するなんて、お手のものですからね!
人工知能を使ったコンペティションまで開かれているんですよ。
地球科学における教育とキャリアの道筋
地球科学は、多様な学問領域をカバーするため、教育とキャリアの選択肢も幅広く提供されています。
この分野でのキャリアを目指すには、基礎的な科学知識から高度な専門知識まで、段階的に学んでいくことが重要です。
教育
地球科学に関する教育は、まず基礎的な自然科学の知識から始まります。
高校では、物理、化学、生物、地理といった科目が重要な基盤となります。
その後、大学での専門教育では、地質学、気象学、海洋学、環境科学など、特定の分野に焦点を当てたカリキュラムが提供されます。
地球科学を学べる大学については、マナビジョンを参考にしてみてください。
学士課程では、地球の構造やプロセスについての基礎知識を習得し、フィールドワークや実験を通じて実践的なスキルを身につけます。
さらに、修士課程や博士課程では、特定の研究テーマに取り組み、独自の研究を進めることが求められます。
大学院での研究は、地球科学の最先端のトピックに関わることが多く、新しい知見を生み出すチャンスでもあります。
キャリア
地球科学の学位を取得した後には、多くのキャリアパスが開かれています。
例えば、地質学者や気象学者として、政府機関や研究機関、大学で働くことができます。
JAXAやJOGMEC、気象庁、国立環境研究所などですかね。
また、資源探査や環境保護に関連する企業に就職し、実務的なスキルを活かす道もあります。
さらに、環境コンサルタントや防災専門家としてのキャリアもあります。
これらの職業では、地球科学の知識を活用して、企業や自治体が直面する環境問題や災害リスクに対処するための助言を行います。
気候変動や持続可能な開発が注目される現代において、これらの専門家の需要は高まっています。
僕の後輩は、地球科学の分野を大学で学んだあと、日本工営という建設コンサルタント会社に就職しましたよ。
まとめ
本記事では、地球科学の概要をお伝えしました。
キャリアの判断材料としてもらえたでしょうか?
地球という惑星そのものを学んでキャリアにしていけるなんて、壮大な学問ですよね。
僕も仕事で少し関わる分野ですが、ダイナミックに働けるので、やりがいがありますよ。