そういった疑問にお答えします。
本記事では、以下の項目をわかりやすく解説しますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
本記事の中身
- 安全基地の定義や目的、機能
- 子どもの安全基地の作り方ポイント
僕が愛着障害について学んだ『マンガでわかる 愛着障害』についてもレビュー記事を書いたので、よければ参考にしてくださいね。
本記事を読み終わる頃には、安全基地についての理解が深まり、実践に移せる知識も得ていることでしょう。
では早速結論からいきます。
結論:心の安全基地の作り方のポイント
子どもにとっての心の安全基地の作り方を、さまざまな専門・公的機関の情報からまとめると、ポイントは以下の12個となりました。
安全基地のポイント
- 対象の永続性を示す
- スキンシップを行う
- 意思を尊重し見守る
- 不安に寄り添う
- 子供の頑張りを認め、褒める
- 気持ちのキャッチボールをする
- 約束ごと・ルールを作る
- 安全感を保証する
- 応答性を高める
- 共感性を高める
- 安定性を高める
- 誠実さを高める
多いですが、試してみる価値はあると思います。
では、中身を解説していきますね。
安全基地の定義
安全基地の定義は明確に決まっているわけではないのですが、横浜つづきクリニックは以下のとおりに説明しています。
『安全基地』とは、自分がつらいときや不安なとき、満たされたいときなどに、心理的に安心できる『人』や『場所』のことをいいます。
具体的には、ありのままの自分を話せる人や信頼できる人。
心療内科医やカウンセラーでもよいでしょう。引用:横浜つづきクリニック
とても素敵な場所ですね、安全基地って。
つらい状態の自分を肯定してただただ受け止めてもらえるなんて、本当にありがたいです。
あなたには安全基地がありますか?
または、だれかの安全基地になってたりしますか?
安全基地の目的
心の安全基地を何のためにつくるのかを説明します。
それは、『愛着』の形成です。
英語では『Attachment(アタッチメント)』と言います。
愛着をうまく形成できないと、『愛着障害』につながったりしますが、医学の分野には素人は下手なことを言えないので、触れるだけにします。
安全基地をつくって愛着を育むので、安全基地の欠如が愛着障害につながったりするわけです。
横浜つづきクリニックによると、大人の不安定型愛着障害の治療には『安全基地』の存在が重要とされています。
大人になってからも重要なんですね、安全基地って。
安全基地の機能
安全基地がどういうものか、まずその機能を説明します。
代表的な機能は3つです。
これは、和歌山大学教育学部教授の米澤先生の出された考え方です(参照)。
安全基地の3機能
- 安全基地機能
- 安心基地機能
- 探索基地機能
一般的に言われている『安全基地』の中にこれらの機能があると思ってよいです。
米澤生成が3つの機能を個別に取り出して解釈されているようですね。
個別に説明します。
安全基地機能
愛着形成のための基地機能として、愛着研究者の間で共通理解されているのは、この安全基地機能だけだそうです。
恐怖や不安といったネガティブな感情から身を守る機能です。
子どもが対象の場合、米澤先生によると、物理的な安全が確保されていることを持って十分だとはいえず、『自分は守られている』と子供が感じることが重要です。
そりゃそうですよね。
主役がどう感じるかですから。
安心基地機能
安心基地機能は、その人といると気持ちが落ち着く、ほっとする、安らぐなどのポジティブな感情を育む機能です。
子どもなどの対象がそう感じることが重要で、そう感じてもらうための行動をすることで足りるわけではありません。
探索基地機能
探索基地機能を3つ目の機能として取り出したのは、実は米澤先生だそうです。
探索基地機能の前提は、安全・安心な基地の存在です。
安全・安心な基地がなければ、探索に出られませんからね。
そして、探索から戻ったときに、自分の行動や経験を報告することで、気持ちが変化することが重要とされています。
経験の共有によって、一人のときよりもうれしさや楽しさが倍増し、ポジティブな感情をもたらします。
悲しかったなどのネガティブな感情は逆に減少して消滅するそうです。
僕ら大人も、親しい友人に悲しい経験を話したときには少し楽になりますもんね。
このように、探索基地機能にはネガティブな感情を消失してくれる働きがあるのです。
学校などでのイタズラを『親に言わないで』という子どもの家庭には、この探索基地機能がないそうです。
安全基地は大人にも必要ですが、本記事では子どもにとっての安全基地の作り方のポイントを解説します。
子どもにとっての心の安全基地の作り方のポイント
出典ごとにポイントを挙げていきますね。
米澤先生
対象の永続性を示す
米澤先生によると、安全基地の『安心基地機能』は、対象の永続性(←この言葉を使っているわけではないですが、表現からするとそう読めます)で形成されていくようです。
ピアジェの認知発達段階の記事でも出てきた要素ですよね。
例に上がっていたのが、『いないいないばぁ』です。
つまり、『いないと思ったら。。。いた!』という経験なんです。
安心基地機能を担う人(対象)が常にそこにいてくれる(永続性)ことで、安心基地機能が形成されていくのです。
離婚や死別等によって本当にいなくなったりすると、『対象の永続性』が欠けてしまい、安全基地を作ることが難しくなります。
文部科学省の資料
スキンシップを行う
特に乳幼児期のスキンシップの大切さが強調されています(出典)。
お母さんなどの無限の愛の人に触れられると、安心しますよね。
石川県教育委員会の資料
意思を尊重し見守る
子どもが元気なときは、少し離れたところでそっと見守ることで、挑戦を後押ししてあげます。
不安に寄り添う
子どもの心に寄り添って、優しく慰めたりします。
心(感情)の燃料補給ですね。
子供の頑張りを認め、褒める
家庭生活の中で、些細な行動でも認めて褒めることで、ものごとに挑戦する意欲が増すようです。
探索基地機能の向上にもなりますね!
- お手伝いができた
- 兄妹にやさしく接した
- 朝、一人で起きた
など、小さなことも対象です。
言葉や気持ちのキャッチボールをする
あくまでキャッチボールなので、一方的に指示するのはNGです。
そして、子どもの話を最後まで聴くことですね。
最後まで、です。
約束ごと・ルールを作る
約束ごとを守れるようになれば、一人でできることが増えます。
自制心・自立心が育まれますね。
『マンガでわかる愛着障害』(光文社)
僕が読んだ『マンガでわかる愛着障害』には、安全基地のポイントとして以下の5つが紹介されていました。
安全感を保証する
一緒にいても傷つけられないことです。
そもそも物理的に不安全では、話になりませんよね。
応答性を高める
相手が求めたときに応じてあげることです。
いざってときに頼れないと、安全基地にはなれません。
共感性を高める
相手の気持ちに寄り添うことですね。
気持ちがわからないまま無神経な言葉が出てくると、大人だって不快です。
安定性を高める
相手の求めに応じたり応じなかったりすると、安心して身を預けていいかわかりませんからね。
誠実さを高める
ひとりの人間として尊重し、必要なときには意に反することも言うことです。
子どもであれば、交通ルールを守らなかったことに対しては、ちゃんと叱ることだってありますよね。
安全基地を学べる本
本から入るのも手ですよね。
低コストで豊富な知識に触れられるのですから。
僕は『マンガでわかる愛着障害』を読んで、愛着障害と安全基地について理解を深めました。
マンガ形式なので、本当に気軽に読めますよ。
気軽に愛着障害と安全基地を学ぶなら
安全基地の本家・ボウルビィの著作
子育ての観点から
まとめ
本記事では、(特に子どもの)心の安全基地について解説しました。
以下、まとめです。
本記事のまとめ
- 『安全基地』とは、自分がつらいときや不安なとき、満たされたいときなどに、心理的に安心できる『人』や『場所』のこと
- 安全基地の目的は『愛着』の形成
- 安全基地の3機能
- 安基地機能:恐怖や不安といったネガティブな感情から身を守る機能
- 安心基地機能:その人といると気持ちが落ち着く、ほっとする、安らぐなどのポジティブな感情を育む機能
- 探索基地機能:探索から戻ったときに、自分の行動や経験を報告することで、気持ちを変化させる機能
- 子どもにとっての心の安全基地の作り方のポイント
- 対象の永続性を示す
- スキンシップを行う
- 意思を尊重し見守る
- 不安に寄り添う
- 子供の頑張りを認め、褒める
- 気持ちのキャッチボールをする
- 約束ごと・ルールを作る
- 安全感を保証する
- 応答性を高める
- 共感性を高める
- 安定性を高める
- 誠実さを高める