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ピアジェの心理学〜シェマや認知発達の4段階、道徳観の発達を解説

2023年2月26日

ピアジェの心理学〜シェマや認知発達の4段階、道徳観の発達を解説
子どもの発達心理について色々と調べていたら『ピアジェ』って人を知ったんだけど、何をした人なんだろう・・?

 

そんな疑問に答えます。

本記事では、ピアジェ心理学について、以下の項目を初見の方にもわかりやすく解説します。

本記事の内容

  • ピアジェについて
  • ピアジェの功績
  • ピアジェの理論の中身

 

ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

 

発達心理関連の記事一覧

 

ピアジェって誰??

ピアジェって誰?

ピアジェ(wikipediaより)

 

ピアジェさんの本名は『ジャン=ピアジェ(Jean Piaget)』です。

1896年から1980年まで生きた、スイスの心理学者です。

ジャン、って聞くとフランス人ぽいですが、生涯のほとんどをスイスで過ごした、生粋のスイス人です。

ピアジェは、発達心理学の分野では世界的に著名な研究者のひとりなんですよ。

 

世界的に著名な研究者

 

エリクソンの発達理論についても解説したので、参考にされてください。

エリクソンと発達心理学〜8つの発達段階の解説とその他の功績〜
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ピアジェの心理学での功績

ピアジェの心理学での功績

ピアジェの心理学での功績

 

ピアジェの(発達)心理学における功績は以下のとおりです。

 

ピアジェの功績

  • シェマの概念
  • 認知発達段階の理論
  • 道徳発達の理論

 

他にもたくさんあるのでしょうが、主要なものとして3つに絞りました(ピアジェさんごめんなさい)。

 

ピアジェの研究スタイルは、子どもに質問していき、得られた回答を分析する対話型のスタイルでした。

参考論文:『子どもの思考研究における発達・臨床的アプローチと対話法』(田丸敏高)

ピアジェは、子どもとの対話を繰り返して繰り返して、発達心理学の分野で偉大な理論を構築してきたのですね。

 

発達心理学の他の研究手法についても以下の記事でまとめたので、ぜひ参照ください。

発達心理学とは何なのか?定義から学び方、活かせる仕事まで紹介
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では、ピアジェの理論について、個別に説明します。

 

ピアジェが提唱した『シェマ』

ピアジェが提唱した『シェマ』

ピアジェが提唱した『シェマ』

 

シェマとは

シェマとは、schémaでフランス語です。

英語ではSchema、スキーマ、つまり構造的な思考の枠組みです。

ピアジェが使うシェマは、人が何かを認知するための思考体系のことです。

 

シェマの使い方

子どもの頃は、世の中の森羅万象がよくわかっていないので、まずシェマを獲得するところからスタートします。

シェマを持った子どもが何かの外的刺激を受けたとき、そのシェマに当てはめます(『同化』です)。

合っていればいいですが、シェマと刺激がずれていた場合には、修正が必要になります(『調節』です)。

この繰り返しによって、子どもの認知力が発達していくわけですね。

 

シェマの具体例

具体例で見てみます。

子どもがリンゴやミカンなどの果物を母親から教わるとします。

『リンゴはこういうもの、ミカンはこういうもの』という体系(シェマ)を思考の中に持ちます。

ある日、プラムを見た子どもが『リンゴだ!』とお母さんに言います。

自分が持っているシェマに同化させようとするわけです。

お母さんは『あればリンゴじゃなくて、プラムだよ』と教えてあげると、子どもはシェマを調節していきます。

 

人工知能の学習・・・?

自分で解説していて思ったのですが、シェマを持って同化・調節するプロセスって、機械学習のアプローチと酷似していますね。

G検定の勉強で学びました。

人工知能に関して学んでみたいと思ったら、G検定は気軽でおすすめですよ。

参考論文:『ピアジェとヴィゴツキーの理論における認知発達の概念』(大澤真也)

 

ピアジェの認知発達段階理論

ピアジェの認知発達段階理論

ピアジェの認知発達段階理論

 

概要

ピアジェが打ち立てた心理学の理論の中で最も有名なものは、認知発達段階に関する理論です。

上で説明したシェマ・同化・調節を繰り返して子どもの認知が発達していくのですが、ピアジェは発達の段階を4つに分けたのです。

 

ピアジェの認知発達4段階

  • 感覚運動期(0〜2歳頃)
  • 前操作期(子どもが話し始める頃~7歳頃)
  • 具体的操作期(7歳頃~11歳頃)
  • 形式的操作期(11歳〜)

 

個別に説明していきますね。

 

ピアジェの認知発達段階1:感覚運動期(0〜2歳頃)

感覚運動期は、言葉を話せず、子ども自身の感覚や運動を通じて認知を発達させていきます。

ボールをつかもうとしても(同化)、大きければ難しいので、手をさらに広げたり両手を使ったりして持とうとします(調節)。

この時期のキーワードは、『循環反応』『対象の永続性』『模倣行動』です。

 

循環反応

循環反応とは、何度も同じことを繰り返す行動ですね。

モンテッソーリ教育のまとめ記事でも述べましたが、子どもはまだ自分の身体機能をよくわかっていません。

できるようになるまで何度も繰り返して練習し、感覚をつかんでいきます。

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対象の永続性

対象の永続性とは、目の前から見えなくなった物体であっても、そこに存在し続けるという概念です。

ボールに布を被せると、最初のうちは『消えた!』と思って興味を失うのですが、理解してくると、布の上からそのボールを掴もうとするのです。

対象の永続性の概念を獲得するわけですね。

 

模倣行動

2歳ごろまでの子どもは、表面的な模倣からその背後にある内面を知ろうとする模倣まで発達していきます。

単なる真似ではなく、意図を理解しようとするわけですね。

模倣は、手や声の模倣から始まり、顔の表情の模倣に進化していきます。

 

ピアジェの認知発達段階2:前操作期(子どもが話し始める頃~7歳頃)

前操作期の『操作』とは、脳内での情報処理です。

すべての心的操作ができるわけではなく、視覚に頼った未熟な操作となるため、『前操作』期と言われます。

この段階のキーワードは『自己中心性』『中心化』『アニミズム』『リアリズム』『人工論』です。

 

自己中心性

前操作期のさらに前半に当たる『象徴的思考期』(2〜4歳)の特徴とされています。

初めて会った親戚のおじさんに対しても、『(保育園のお友だちの)○○ちゃんがね』と話し始めるなど、自分が知っていることはみんなが知っていると思ってしまいます。

 

中心化

後半の『直感的思考期』(4〜7歳)の特徴とされています。

ものごとのいろいろな側面を同時に扱えない状態です。

大きいけど中身がスッカスカのお菓子と、小さいけど超おいしい高級なお菓子とを見せて、大きいお菓子を選んでしまうようなものですね。

『大きさ』という目立つ部分にしか目がいっていない状態です。

 

アニミズム

アニミズムとは、あらゆる物に生命があるかのように捉える概念です。

ぬいぐるみを友だちや家族のように扱う行動は、よくみられますよね。

 

リアリズム

リアリズムは、幻想・想像と現実を混同するケースです。

よく例にあがるのは、サンタクロースや鬼、幽霊などを現実のものとして考えてしまう場合です。

架空のキャラクターが本当にいたり、アニメや漫画の技を本当に使えたり。。。どこかで聞いたこと、見たこと、体験したことがあるような話ですね。

 

人工論

人工論は、大自然のものまで人間がつくったと思ってしまうことです。

宗教や各種伝承にも人工論はありますけどね。

 

ピアジェの認知発達段階3:具体的操作期(7歳頃~11歳頃)

具体的操作期は、論理的思考ができるようになり、視覚情報や感覚に頼らなくても考えを進めることができるようになります。

数や量の情報を思考の中に保存できるようになるからですね。

ただ、『具体的』なので、『誠実さ』や『賢さ』などの抽象的な概念や、仮定(もし〜だったら)を扱うには、まだ難しい時期です。

 

ピアジェの認知発達段階4:形式的操作期(11歳〜)

最終段階には、抽象的な概念や仮定も扱えるようになります。

推論や推測、仮説思考などが可能になります。

参照:カウンセリングしらいし

 

ピアジェによる道徳観の発達

ピアジェによる道徳観の発達

ピアジェによる道徳観の発達

 

ピアジェは、道徳観についても発達段階を2つに分けて理論化しました。

 

ピアジェによる道徳観の発達2段階

  • 他律的道徳観(5~9歳)
  • 自律的道徳観(9~10歳)

 

個別に説明しますね。

 

他律的道徳観(5~9歳)

他律とは、他のものに律せられることです。

つまり、5〜9歳の頃に発達する他律的道徳観とは、他人のルールに従うのをよしとする道徳観です。

大人などの権威のある人が決めたルールが絶対で、その人に怒られるからルールを守る、という心理状態となります。

 

自律的道徳観(9~10歳)

道徳観が発達してくると、善悪の判断軸を自分の中に持てるようになり、自分自身のルールで行動するようになります。

自分で考え、自分で行動する子どもの誕生ですね。

 

確かに自分の幼少期を考えると、そんな感じかもしれません。

小学校の低学年の頃は、世界も狭くて両親や教師の言うことで生活が回っていた気がします。

自発的に考えて行動するようになったのは、確かに高学年の頃だったような。

 

エリクソンとピアジェの違い

エリク=エリクソンも著名な発達心理学者ですが、ピアジェとの違いは明らかです。

エリクソンは老年期までの生涯を包括的に考えて、8段階の心理発達を考えました。

ピアジェは、認知発達として子どもを中心に扱っています。

認知発達はある程度の年齢までに完了し、生涯心理はその先の年齢もずっと発達していくからなのでしょうね。

扱う分野が違うのです。

エリクソンと発達心理学〜8つの発達段階の解説とその他の功績〜
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まとめ

本記事では、ピアジェの心理学を扱いました。

以下にまとめます。

  • ジャン=ピアジェ(Jean Piaget)は、1896年から1980年まで生きた、スイスの心理学者で、世界的に著名な研究者のひとり
  • ピアジェによると、認知を発達させる過程として、シェマを獲得し、シェマと現実を同化させ、違っていたら調節する
  • ピアジェの認知発達段階は4つ
    • 感覚運動期(0〜2歳頃)
    • 前操作期(子どもが話し始める頃~7歳頃)
    • 具体的操作期(7歳頃~11歳頃)
    • 形式的操作期(11歳〜)
  • ピアジェによる道徳観の発達は2段階
    • 他律的道徳観(5~9歳)
    • 自律的道徳観(9~10歳)

心理学の観点からこうした発達段階を学ぶと、子どもの様子を少し客観的に見られるのではないでしょうか。

また、ご自身の幼少期と重ねてみると、普段とは一味違う思い出が出てくるかもしれませんね。

 

まなびとやでは、教育と学びに関する濃い記事をたくさん用意しています。

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