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ギフテッドのOE(過度運動)の特性と日常生活での困りごと

2024年1月4日

ギフテッドのOE(過度運動)の特性と日常生活での困りごと
ギフテッドOE(過度運動)という性質があるらしいんだけど、もしかしたらうちの子の落ち着きの無さって。。

 

OE(過度運動、overexcitability)という概念を知ってしまうと不安になりますよね。

まずはOE(過度運動)を知ることで腑に落ちて納得することもありますので、ぜひ本記事を読んでみてください。

OE(過度運動)の概要や細分化された特徴、抱える苦労などをまとめました。

 

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ギフテッドとは

ギフテッドとは

ギフテッドとは

 

ギフテッドに関する世界の統一見解はないのですが、全米天才児協会(NAGC)の定義をさらっとご紹介しますね。

Students with gifts and talents perform - or have the capability to perform - at higher levels compared to others of the same age, experience, and environment in one or more domains.
(1つまたは複数の領域において、同じ年齢、同じ経験、同じ環境にある他の生徒と比べて、より高いレベルで能力を発揮することができる子ども)

出典:NAGC資料

 

ギフテッドのOE(過度運動)とは

ギフテッドのOE(過度運動)とは

ギフテッドのOE(過度運動)とは

 

OE(過度運動)の位置付け

ポーランドの精神科医であり心理学者のカジミエシュ=ダブロウスキーギフテッドOE(過度運動)を提唱しました。

どんな内容かというと、ダブロウスキー氏が提唱したTPD(Theory of Positive Disintegration; 積極的分離理論)の中で、ギフテッドの人格発達における重要な要素として、OEが重要であるというのです。

Dabrowski (1996a) linked developmental potential with five forms of psychic overexcitability (psychomotor, sensual, imaginational, intellectual, and emotional) that are primarily biologically based.

出典:TPDに関する論文

 

OE(過度運動)によって外界からの刺激を存分に受けて自己との矛盾に葛藤し、その葛藤を解決するプロセスが、ギフテッドの人格発達にとって重要というわけです。

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ちなみに、全ての知的ギフテッドの人がOE特性を持つわけではありません。

 

OE(過度運動)は悪いことではなく、ギフテッドの人にとっては成長のための大事なドライバーなのですね。

 

OE(過度運動)の5つのタイプ

OEには5つのタイプがあります。

 

OEの5つのタイプ

  • Psychomotor OE (精神運動性 OE)
  • Sensual OE (感覚性 OE)
  • Imaginational OE (想像性 OE)
  • Intellectual OE (知性 OE)
  • Emotional OE (情動性 OE)

 

Psychomotor OE (精神運動性 OE)

Psychomotor OEの特徴は、活発でエネルギッシュな行動や性格です。

絶えず運動したり、絶えず話をしたり、とにかくバイタリティの塊のような状態です。

僕の周りにもチラホラいますが、彼らはギフテッドなのか・・・?

 

Sensual OE (感覚性 OE)

Sensual OEの特徴は、五感への刺激に対して特に強く喜びや不快感を示すことです。

音楽、言語、芸術等への美的な感情が特に豊かです。

 

Imaginational OE (想像性 OE)

Imaginational OE の特徴はその想像力です。

高度で複雑な想像力や発明の力を発揮するようです。

想像が妄想に変わる場合があるので、しばしば現実と空想を混ぜたり、空想上の仲間を作ったりします。

僕は日本妄想協会会長を自認するほどですし、かなり発明も得意です(弁理士だからか?!)。

もしかしたら想像性OEかもしれません。

 

Intellectual OE (知性 OE)

Intellectual OE の特徴は、知的好奇心の強さです。

関心を持った物事について粘り強く集中して考え抜く傾向があります。

論理的思考力が強いのも特徴です。



Emotional OE (情動性 OE)

Emotional OE の特徴は、感情の振れ幅の大きさや共感力です。

人、場所、物に対して強い感情や愛着を示したり、思いやりや共感が強かったりします。

 

ギフテッドのOE(過度運動)の苦労

ギフテッドのOE(過度運動)の苦労

ギフテッドのOE(過度運動)の苦労

 

OE特性を持つギフテッドは、それゆえの苦労をしているようです。

 

OEを持つギフテッドの苦労

  • ADHD傾向による苦労
  • OEの5つのタイプごとの苦労

 

ADHD傾向による苦労

OE(過度運動)の特性を持つギフテッドは、以下の2つの観点で日常生活で苦労をしています。

 

ADHD傾向による苦労

  • マインドワンダリング(MW; Mind-Wandering)
  • 多動性・衝動性

 

マインドワンダリング(MW)

MWは、目の前の課題以外のことに注意を向けてしまうことです。

ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder、注意欠陥多動障がい)のうち注意欠陥(Attention Deficit)の要素ですね。

MWが多くなってくると、学業成績が低下したり、幸福度が低下する傾向があります。

目の前のことではなく、あれこれ想像することに集中してしまうことは、Imaginational OE (想像性 OE)につながるものがありますよね。

 

多動性・衝動性

ADHDのうち多動(Hyperactivity)の要素ですね。

自席に座っていられず、授業や会議の途中にソワソワして離席したり、いきなりブワーっと話し出したり、他人の会話に干渉したり。。

Psychomotor OE (精神運動性 OE)に通ずるものがありますね。

有り余るエネルギーの行き場に困った結果の多動・衝動なのかもしれません。

 

OEの5つのタイプごとの苦労

Psychomotor OE (精神運動性 OE)

環境刺激に対して通常の範囲を超えて反応してしまうので、自分自身や他者との間に葛藤を抱える傾向があります。

また、衝動的な行動をとってしまったり、非行に走ったり、チックや爪噛みなどが表面的な問題として出てくるようです。

 

Sensual OE (感覚性 OE)

感情のコントロールが難しいことから、周囲に適応することが困難です。

過食買い占め脚光を浴びたがるなどの行動が顕在化するようです。

 

Imaginational OE (想像性 OE)

想像性 OE が強いと、空想の世界に浸る結果、現実に適応できないケースがあります。

アニミズム的な空想により、人間以外のものに魂や人格があるようにふるまったり、現実とフィクションを混ぜたりします。

幻覚も影響の一つとなります。

 

Intellectual OE (知性 OE)

知性 OE が強い場合、何かを過剰に調べたり,問題を知的化・複雑化したりすることで周りとの馴染めず、環境不適応になる可能性があります。

 

Emotional OE (情動性 OE)

情動性 OEが強いと、不安や恐怖に苛まれるなどの感情過敏を示すことがあります。

赤面したり、動悸が激しくなったり、手汗をかいたりも。

罪悪感を強く感じたり、死への不安を覚えたり、抑うつ的になり自ら命を絶つことを考えたりも。

 

参考文献:ギフテッドの Overexcitability 特性と関連する ADHD 傾向,空想傾向,およびマインドワンダリング頻度の検討(日高 茂暢、他)

 

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まとめ

本記事では、ギフテッドOE(過度運動)について書きました。

ギフテッドとして類稀なる才能を発揮するための過程であっても、OEが強すぎると心身がもたないですね。。

周囲の理解と、適切なサポートが必要だと認識しました。

 

以下に内容をまとめます。

 

本記事のまとめ

  • ギフテッドのOEは、Overexcitability(過度運動)のことで、刺激に対して過敏に反応してしまうこと
  • OEはポーランドの精神科医であり心理学者のカジミエシュ=ダブロウスキーがTPD(積極的分離理論)にて提唱
  • OEには5つのタイプがある
    • Psychomotor OE (精神運動性 OE)
    • Sensual OE (感覚性 OE)
    • Imaginational OE (想像性 OE)
    • Intellectual OE (知性 OE)
    • Emotional OE (情動性 OE)
  • OE(過度運動)特性を持つギフテッドの苦労
    • ADHD傾向による苦労
      • マインドワンダリング(MW; Mind-Wandering)
      • 多動性・衝動性
    • OEの5つのタイプごとの苦労
      • Psychomotor OE (精神運動性 OE):衝動的な行動、非行、チックや爪噛み
      • Sensual OE (感覚性 OE):過食や買い占め、脚光を浴びたがる
      • Imaginational OE (想像性 OE):アミニズム的な空想、現実のフィクションを混ぜてしまう
      • Intellectual OE (知性 OE):何かを過剰に調べたり、問題を複雑化してしまう
      • Emotional OE (情動性 OE):不安や恐怖に苛まれる、赤面、動悸、手汗

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