
そんな疑問に答えます。
本記事では、以下の内容を簡潔にお伝えします。
本記事の内容
- インクルーシブ遊具の意味
- インクルーシブ遊具の背景
- インクルーシブな公園
- インクルーシブ遊具のメーカー
- インクルーシブ遊具のメリット
本記事を読むことで、インクルーシブ遊具に関する理解が一気に深まります。
ぜひ読んでみてくださいね!
遊具のある公園を自宅で再現する方法もまとめたので、よければ読んでみてください。
インクルーシブとは
インクルーシブ(inclusive)とは、日本語で『包括的』という意味です。
SDGs目標10『人や国の不平等をなくそう』に関わる概念で、分け隔てなく、不当に区別することなく、という意味です。
『ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包括性)』という使い方もよく見かけますね。
インクルーシブな遊具とは
『インクルーシブ遊具』とは、障がいがある子もない子も、一緒になってあそべる遊具のことです。
インクルーシブ(inclusive)、つまり包括的なので、みんなで一緒に分け隔てなく遊べる遊具というわけですね。
インクルーシブな遊具の例
キッドビルダーシリーズby中村製作所

キッドビルダーシリーズby中村製作所
後述する中村製作所が、キッドビルダーというシリーズの遊具を販売しています。
その中のインクルーシブモデル・ラージをご覧下さい。
ランボルギーニを買えるほどのお値段ですが、土木工事もあると考えたら、並外れた価格ではないと思います。
(土木工事って高いんです。。)
スロープであらゆる箇所に行けるので、車椅子を使っても楽しめそうですね。
ただ、車椅子の場合、高い場所から落ちたりするのは本当に危険です。
その点、この遊具は各所にある滑り台の入り口に、車椅子がそのまま滑り落ちて行かないようにゲートが設けられているんです。
他にも、落ちそうなところにはガードが設けられているので、車椅子ユーザーも安心して楽しめます。
インクルーシブが細部まで徹底されていると感心しました。
プレイビルダー@雑司ヶ谷公園

プレイビルダー@雑司ヶ谷公園(豊島区)
豊島区の雑司ヶ谷公園にあるプレイビルダーという遊具は、視覚・聴覚・触覚で楽しめるインクルーシブ遊具です。
五体を使って楽しむタイプの遊具では、四肢が不自由な子どもが楽しめません。
プレイビルダーは五体よりも五感で楽しむので、四肢が不自由でも楽しめるようになっています。
また、視覚・聴覚・触覚で楽しむので、五感に障害があっても楽しめます。
オムニスピナーbyコトブキ

オムニスピナーbyコトブキ(キッズデザイン賞)
後述するメーカー・コトブキが『オムニスピナー』というインクルーシブ遊具を販売しています。
遊び方はこんな感じです。
オムニスピナーは車椅子からでも乗れるように、低く設計されているんです。
一緒の遊具にみんなで入ってくるくる回る。
インクルーシブ遊具を体現したような遊び方です。
インクルーシブな公園とは

インクルーシブな公園とは
定義
みーんなの公園プロジェクトの言葉を借りれば、インクルーシブな公園は以下のように説明されます。
✔️障害の有無などにかかわらず
✔️すべての子どもが
自分の力を生き生きと発揮し
✔️さまざまな友達と共に遊び学べる公園
障がいの有無に関係ない、ってところがポイントですね。
事例を紹介するので、イメージしてみてください。
広島県庄原市『国営備北丘陵公園』
広島県庄原市にある『国営備北丘陵公園』はインクルーシブな公園となっています。
シルバーや障がいを持った方のために、電動スクーターの貸し出しを行なっていたり、送迎カー『思いやり号』を運行しています。
また、車椅子でも入っていける遊具も配置されていて、『楽しむ』ことまで配慮されています。

広島県庄原市『国営備北丘陵公園』
東京都立川市、昭島市『国営昭和記念公園』
東京都立川市と昭島市にまたがって存在する『国営昭和記念公園』もインクルーシブな公園となっています。
車椅子も利用しやすい水場や、車椅子も通れる遊具もあります。

国営昭和記念公園のインクルーシブ
僕も行ったことがありますが、めちゃくちゃ広くて気持ちのいい公園です。
秋に行ったので、紅葉やイルミネーションなどがきれいでしたね。
兵庫県淡路市、『淡路島 国営明石海峡公園』
兵庫県淡路市にある『国営明石海峡公園』もインクルーシブな公園です。
車椅子で使える砂場や、スロープたくさんで車椅子も通れる遊具が多くあります。

明石海峡公園のインクルーシブ
僕は淡路島に観光で行きましたが、景色もきれいだし、玉ねぎは美味しいし、時間はゆっくり流れているしで、リラックスできる観光スポットです。
イザナギノミコトとイザナミノミコトが祀られている伊弉諾神宮もあり、観光しがいのあるおすすめの土地です。
こう見ると、インクルーシブな公園には、車椅子を意識したスロープが多いですね。
インクルーシブ遊具のメーカー

インクルーシブ遊具のメーカー
インクルーシブ遊具のメーカーをご紹介します。
普段はあまり表に名前が出ないですが、子どもたちのために知恵を絞って製品化してくれているのだと思うと、温かくなりますね。
コトブキ
大正5年に創業した、老舗メーカーです。
大正、昭和、平成、令和と、4つの時代を生き抜いた企業なんですね!
遊具だけではなく、プレイグラウンド(=遊び場)を対象として、『インクルーシブ・プレイグラウンド』をコンセプトとして打ち出しています。
コトブキはかわいくてカラフルなオリジナル遊具をたくさん販売していますが、インクルーシブ遊具の例は『ツインサンドボウルテーブル』です。
これ、砂場なんですけど、車椅子に乗ったまま遊べるんです。
従来の砂場では難しいので、車椅子の高さまで上げたのですね!
『これまでになかった発想』と『インクルーシブ』の両方を兼ね備えた良品だと思います。
中村製作所
昭和27年に創業した千葉県松戸市の老舗メーカーで、『ベンチのナカムラ』がキャッチフレーズです。
遊具以外にも、喫煙パーティションやベンチなども幅広く手掛けています。
インクルーシブ遊具もカタログを揃えるほど力を入れているようですね。
内田工業
昭和34年創業、愛知県名古屋市の老舗メーカーです。
公園設備を幅広く手掛けています。
遊具をつくるだけではなく、ワクワクする場をつくるために、ニーズのヒアリングから企画、制作、施工までをワンストップで行う体制が特徴的です。
インクルーシブ公園とその遊具を扱ったWebカタログは、見ていて楽しくなりますよ。
インクルーシブな遊具であそぶメリット

インクルーシブな遊具であそぶメリット
インクルーシブ遊具であそぶことには、次のメリットがあります。
- 障がい者が困るポイントがわかる
- インクルーシブとダイバーシティが価値観に組み込まれる
個別に説明します。
障がい者が困るポイントがわかる
インクルーシブ遊具で遊ぶことで、『なぜここの形はこうなっているんだろう・・?』と気づきを得ます。
他の遊具とくらべると特徴的ですからね。
そして、車椅子に乗った子どもたちが使っている様子を見て、『なるほど!だからこういう形をしているのかー!』と納得するわけです。
この気づきはとても重要で、公園だけではなく街中のあらゆるシーンで『ここ、車椅子だと困りそうだな』『これはインクルーシブ遊具みたいに配慮されているな』と気づくようになります。
いずれは市や学校、職場への提言、SNSを通じた発信などにつながり、インクルーシブな街づくりや世論形成を後押しするきっかけになるのです。
インクルーシブとダイバーシティが価値観に組み込まれる
『まちづくり』や『世論形成』など、かなり壮大なところまで話を展開しちゃいましたが、幼少期に実体験を通して得た気づきは、価値観の形成に強く影響を与えます。
僕の幼少期には、車椅子ユーザーの友だちはいませんでしたが、四肢に障がいをもった友だちはいました。
物を使うときに、使いづらそうにしているシーンが脳裏に焼き付いているんです。
その記憶があるからか、僕はバリアフリーだったり、インクルーシブ、ダイバーシティなどの言葉にはすごく共感する大人になりました。
今はインフラ開発の仕事をしていますが、こうしたキーワードを意識しながらアイディアを生み出しています。
インクルーシブ遊具に限らず、遊具あそびで身につく力を解説したので、よければ見てみてください。
まとめ
本記事では、インクルーシブ遊具について解説しました。
以下にまとめます。
本記事のまとめ
- インクルーシブ(inclusive)とは『包括的』という意味で、SDGs目標10『人や国の不平等をなくそう』に関わる概念
- 『インクルーシブ遊具』とは、障がいがある子もない子も、一緒になってあそべる遊具
- インクルーシブな遊具の例
- キッドビルダーシリーズ
- プレイビルダー
- オムニスピナー
- インクルーシブ遊具のメーカー
- コトブキ
- 中村製作所
- 内田工業
- インクルーシブな遊具であそぶメリット
- 障がい者が困るポイントがわかる
- インクルーシブとダイバーシティが価値観に組み込まれる
参考サイト:みーんなの公園プロジェクト